米政府監査院、EPAによる改正安全飲料水法未規制汚染物質プログラムの実施の仕方を批判

米国政府監査院(GAO)は2011年7月12日、環境保護庁(EPA)による安全飲料水法(SDWA)の未規制汚染物質プログラムの実施の仕方に対して非常に批判的な報告書を発表した。

この報告書SAFE DRINKING WATER ACT – Improvements in Implementation Are Needed to Better Assure the Public of Safe Drinking Water(安全飲料水法-その実施の改善が人々に飲料水が安全であることをよりよく確信させるのに必要である)は、民主党のBarbara Boxer上院議員(カリフォルニア州選出)およびHenry WaxmanとEdward Markey両下院議員の要請を受けて作成された。

その要点は、次のとおり。

  • EPAは、1996年のSDWAの改正以降、1種の新規汚染物質を規制する決定をしただけであり、この改正法を効果的に実施できなかった。
  • EPAは、改正SDWAが指示したように、人々の健康上の懸念によって化学物質の優先順位づけをするのではなく、もっとも簡単にデータを入手できる汚染物質を評価するほうを選んできた。
  • ブッシュ政権時の過塩素酸塩(パークロレート)の規制に関する評価の際、EPAの規制に関する決定は、通常のプロセスによらず、環境問題諮問委員会がその作業を調整する小グループが主導して行われた。

このGAOの報告書の調査結果は、7月12日の上院環境・公共事業委員会の公聴会のテーマで、この公聴会では、過塩素酸塩と六価クロムの健康への影響について激論が交わされた。この委員会のBoxer委員長は冒頭の挨拶のなかで「1996年、議会はSDWAを改正し、EPAに利用可能な最善の科学的知識を用いて、幼児、子ども、妊婦などの最も影響を受けやすい人々を守るための飲料水に関する予防対策を策定するよう指示した。しかし、今回のGAO報告書によって、過塩素酸塩のような飲料水に含まれる未規制の汚染物質の新基準の作成は、利用可能な最善の科学的知識を用いることに失敗し、人々の健康の保護以外の要因によって決定されたプロセスのなかで頓挫したことが指摘された」と述べた。

また、Frank Lautenberg上院議員は、その発言のなかで、本年5月の「飲料水知る権利法(Drinking Water Right to Know Act)」(S875)案の提出は、飲料水に含まれる汚染物質のモニタリングと情報開示の拡大を求めることで飲料水の汚染規制の欠陥を補うことを目指したものだと説明した。同氏は、この規制の欠陥は、既存の法律の下でEPAがなにもしなかった結果、生じたものであると述べた。

EPAは、2011年に入ってから、過塩素酸塩、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなど、飲料水に含まれる現在未規制の汚染物質に関するモニタリングや制限を増やすいくつかの提案と新しい取り組みを披露している。

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