ベトナムの環境総局および天然資源環境省は、2012年4月18日、首都ハノイにて、廃水に対する環境保護費用に関する政令案について関連省庁および関連業界の意見を求めるためにセミナーを開催した。本政令案は、2003年6月13日付けの「廃水に対する環境保護費用についての政令(67/2003/ND-CP号)」に代わるものとして起草されているものである。現行の政令(67/2003/ND-CP号)には多くの欠点があり、その一つとして都市および工業の排水に関する政令(88/2007/ND-CP号)に重複する部分があることが挙げられる。新たに起草された政令案は、従来の政令(67/2003/ND-CP号)に比べ、次のようないくつかの変更点がある。
- 病院、医療施設、洗車業者のように、環境中に廃水を排出する施設は、本政令案の対象になる。
- 廃水を一般的に評価するに当たり、2種のパラメーターCOD(化学的酸素要求量)とTSS(総懸濁固体量)――のみが対象となる見込みである。一方で、重金属の評価基準は特定の企業のみに対して適用される。現行の政令(67/2003/ND-CP号)のような6つパラメーターの適用は、サンプル分析の費用を無駄にし、また人材の観点からも適切ではない。CODとTSSに対する環境保護費については、3~5倍に引き上げることが検討されているが、各地方の代表によると、この費用でも十分でなく、環境保護に当たる企業の行為に改善をもたらすには不十分であるという。
- 新政令案では、2通りの費用(固定費、変更費)が適用される見込みである。固定費とは、環境に廃水を排出する対象に適用されるもので、一方、変更費とは、排出量に応じて適用されるものである。
- 現行の政令(67/2003/ND-CP号)では、廃水流量の確定作業に関して規定されていないが、新政令案では、廃水流量を確定するに当たり、環境影響評価書に基づくか、情報のない施設の場合、取水総水量の約80%とすると規定される。
- 展開の際の簡便化を図るため、新政令案は政令第67号の幾つかの規定を廃止する。