欧州議会環境委員会が水枠組み指令の優先物質リストへ15物質の追加を支持――医薬物質3種の濃度制限は除外

欧州議会環境委員会は2012年11月28日、欧州委員会によって提案されていた水域における環境質基準(EQS)の対象となる化学物質を新たに追加するための改正案に対する採決を実施し、賛成43票、反対7票で可決された。しかし、問題となっていた3種類の医薬物質(17α-エチニルエストラジオール(EE2)、17β-エストラジオール(E2)、及びジクロフェナク)に対する最大許容値は除外された。環境委員会は、これらの理由として当該物質が水域環境へ及ぼす影響が不明確であること、それらの物質を制御するために多大な費用が発生することを挙げている。

同改正案は、Richard Seeber欧州議会議員によって再提出されていた水枠組み指令(2000/60/EC)および環境質基準指令(2006/118/EC)を改定するための草案で、現在水域における最大許容量が規定されている33物質に加え、新たに15物質が追加されることになる。それらの物質には工業化学品、殺生物物質、農薬、そして3種類の医薬物質が含まれる。その他の12物質には、ペルフルオロオクタンスルホン酸、ジクロルボス、シペルメトリン、ダイオキシン、ダイオキシン様PCBが含まれる。

新たに優先物質リストへ追加される物質のEQSは、2021年までに達成しなければならない。また、現行の33物質に対するEQSは、2015年までに基準を達成することが定められている。3種類の医薬物質はモニタリングの対象となるが、義務的な最大許容量が課されることはない。欧州議会議員によると、それらの物質に関するデータを収集し、次回の改正時には環境質基準が追加される可能性があるとしている。その場合、2027年からそれらの基準が要求されることになる。

また、25物質を対象とした新しいウォッチリストの作成も盛り込まれている。それらの物質は、最大4年間のモニタリングを経て、優先物質リストへ追加されるか、完全に対象から削除されるか決定される。欧州議会議員はさらに、REACH規則や農薬指令などのその他のEU法規と一貫性のある規則を制定するための改正についても支持しており、今後、同改正指令案は2013年4月までに本議会での採決が実施される予定である。

URL:水枠組み指令および環境質基準改正指令案
http://www.europarl.europa.eu/meetdocs/2009_2014/documents/envi/am/920/920210/920210en.pdf

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