インド水資源省は、同国エネルギー効率局が実施している省エネラベルに倣い、洗濯機、シャワー、蛇口などの製品に対して、水の消費量に基づいた節水格付け評価システムの導入を検討している。さらにこれに伴い、様々な産業分野における水資源の消費実態を調査する水効率局(bureau of water efficiency)の設立も、政府は計画しているという。インドは現在、国全体で水不足の問題が拡大しつつあり、そのため水資源の保全に向けてこのような案が検討されている。
この政府の動きに対して、デリーの水道局(DJB:Delhi Jal Board)も、2013年3月4日、製品ごとの節水性能を示す格付け評価システムの必要性を主張した。DJBのトップであるDebashree Mukherjee氏は次のように説明している。「洗濯機などの電気製品を消費者が選ぶ際に、水の使用効率、つまり節水性能を評価するための情報が現在求められている。冷蔵庫やエアコンなどについては、省エネ性能を表すラベルをもとに選ぶことができるようになったが、例えば洗濯機が“どのくらいの水を使用するのか”という情報を伝える手段は今のところない。これは政府当局が取り組まなければならない領域である」
また、Mukherjee氏によると、産業分野における節水の一環としてDJBは、水を大量に消費している事業者に対して、水の監査を始めることを前向きに検討しており、その監査については第三者機関にお願いする方向で考えているという。
デリーにおける都市での水問題
デリーの水資源に関してMukherjee氏は次のように述べている。「都市における水の安定供給は危機的な状況が続いているが、ガンジス川とヤムナ川からの取水量が大きく増加することはないだろう。これらの水源は500~600 km離れた場所にあり、水を巡って州同士や州内で争いが起こる可能性もあるため、水資源の管理はデリーにとって重要な課題である。現在デリーでは1日にガンジス川とヤムナ川から合わせて約7億4000万ガロンを、地下水からは1億ガロンを取水し、合わせて8億4000万ガロンを消費しているが、1日の水の需要量は11億ガロンもあるため、その不足分は各家庭の地下水で補っている」
また、上下水道管理でも問題は山積しているとMukherjee氏は言う。「上水道から水を得ているのは人口のわずか75%足らずであるため、水の供給範囲を拡大させる必要がある。また、下水処理ついても同様で、処理能力のわずか64%しか利用されていない。下水施設のカバーしている範囲はデリー全体の55%しかなく、残りの汚水は雨水を介して下水管に入り、その後ヤムナ川へと流入する。課題は、いかにして下水管網を拡大させるか、それと、水の需要をいかに管理するかである」