ペルー政府は2013年6月18日、上下水事業を近代化するための法律(LEY N° 30045)を公布した。これは、2013年6月12日に議会を通過し、6月17日にOllanta Humala大統領による署名を経て成立したもの。同法に基づき、住宅・建設・衛生省のもとで水・衛生サービスを提供する技術部局(OTASS)が設立される。また、公布日より90日以内に、同法の施行規則を発行することが要請されている。
OTASSは、上下水道ユーティリティによる水関連事業を容易にするような行政や、民間資金を調達しやすくするための官民連携を向上させることで、家庭が上下水サービスによりアクセスしやすくすることを目的としている。いっぽう、45の上下水道ユーティリティが加盟する組合であるANEPSSAは、重大な問題点が見過ごされているとして、同法の制定に反対してきた。下水道の普及率を改善するための政府イニチアチブでは、過去5年間にわたり莫大な損失を被ってきており、ユーティリティを監視するというOTASSの役割についても、企業の地位を損ねるのではとの懸念がある。
住宅・建設・衛生省のRené Corgejo大臣は、「農村部のわずか約3分の1だけがまともな下水道サービスを受けることができ、飲料水にアクセスすることができるのは3分の1であるという現状は許されるものではない」と述べている。ペルーの上水普及率の全国平均は82%であるが、農村部となると60%まで低下する。また、下水道の全国普及率は68%であるのに対し、農村部では36%である。住宅・建設・衛生省の報告によると、Humala政権によって2011年8月から2013年4月までの間、531つの上下水道プロジェクトに対して18億ソル(約643億)の投資が行われたという。民間企業団体のAFINによると、さらに35億ソル(約1250億円)の資金が都市部と農村の格差を是正するために必要であるという。OTASSは、上下水道ユーティリティの合併を促すことにより、これらを達成しようとしている。
ANEPSSAの法務アドバイザーであるVictor Lopez氏は、「上下水道への民間投資を促進するために新しい法律を制定する必要はなかった。OTASSはリマを中心とした官僚制度であり、ユーティリティを監視することで近代化が遅れる可能性さえある」と指摘している。
URL:LEY N° 30045(スペイン語)
http://www.vivienda.gob.pe/direcciones/Documentos/LeyN30045.pdf