2013年8月24日、水政策分野における優先物質に関して水質枠組み指令(2000/60/EC)および環境質基準に関する指令(2008/105/EC)を改正するための指令(2013/39/EU)がEU官報にて公布された。新指令では、2015年9月までに医薬製品による水質汚染への戦略的アプローチを策定することを各加盟国に課しており、それらにはリスクおよび現行の法的枠組みの有効性の見直しが含まれている。同指令の前文では、欧州において残留薬剤による水質・土壌汚染の懸念が高まってきていることが指摘された。
優先物質
附属書Iには優先物質として新たに12物質が追加され、全45物質が収載されている。このうち、新たに環境質基準(附属書II)が変更となった鉛、ニッケルとその化合物など計7物質は2015年12月までに基準を遵守しなければならない。それらの物質は、流域管理計画の第2期間が終了する2021年12月までに、“良好な状態”を達成しなければならない。また、新しく収載された農薬のシペルメトリンやジコホル、除草剤のビフェノックスなど計12物質については、2018年12月から環境質基準が適用され、第3期間が終了する2027年12月までに“良好な状態”を達成する必要がある。
監視リスト
また、将来的に優先物質に指定される可能性のある物質の監視リスト(Watch list)に収載する物質に、3種類の医薬物質は17α-エチニルエストラジオール(EE2)、17β-エストラジオール(E2)、及びジクロフェナクが指定された。欧州委員会は、これら3物質を含む計10物質の監視リストを2014年9月1日までに策定し、1年毎に見直す必要がある。各加盟国は、2015年9月1日まで、もしくは監視リストの策定から6ヵ月以内(どちらか遅い方)に、モニタリングを開始し、最低12ヵ月間実施しなければならない。その後、リストの策定より21ヵ月後、もしくは2015年12月まで(どちらか遅い方)にモニタリングの結果を欧州委員会へ報告する必要がある。
URL:水政策に関わる優先物質を改正するための指令(2013/39/EU)
http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:L:2013:226:0001:0017:EN:PDF