米国環境保護庁新長官が3つの重要規制分野として「CO2」「化学物質」「水」を挙げる

2013年9月16日、米国環境保護庁(EPA)の新しい長官に就任して間もないGina McCarthyが毎年恒例の州政府環境機関協議会(ECOS)の会議に集まった州の環境規制の担当者たちの前であいさつをし、オバマ政権2期目のEPAの重点課題として「気候変動対策」「化学物質安全規制改革」「全米の水の規制の改善」の3つを挙げ、それらを実現するための「着実で責任ある施策を全方位にわたって実施していく」と語った。

気候変動対策

週内に新設の発電所に関する二酸化炭素の発生源排出基準を発表すると語った。そして、9月20日にワシントンDCの全米記者クラブで会見を開き、大型天然ガス火力タービン:1000ポンド/MWh以下、比較的小型の天然ガス火力タービン:1100ポンド/MWh、石炭火力発電装置:1000~1050ポンド/MWh(運転時間84時間平均)といった基準案を発表した(詳細は下記URL参照)。長官はしきりに「柔軟に対応する」ことを強調しているが、現在の米国内の石炭火力発電装置の平均は1768ポンド/MWh(天然ガス火力タービンの現在の平均は800~850ポンド/MWh)。石炭火力発電所はかなり大幅な技術的改善を迫られることから、長官の記者会見の直後から激しい反発の声が上がっている。
http://www2.epa.gov/sites/production/files/2013-09/documents/20130920proposal.pdf

化学物質安全規制改革

この点については、4月にテキサス州Westの町で肥料工場が大爆発を起こして大勢の死者が出た事件を引き合いに出し、有害物質規制法(TSCA)は「破綻した法律。破綻したものは修理しなければならない」と述べた。議会は今年の末からTSCAの改正に乗り出すと見られ、現在上院に提出されている化学物質安全性向上法案(Chemical Safety Improvement Act)と安全化学物質法案(Safe Chemicals Act)のいいところ同士を組み合わせるようなかたちで修正法案が検討されるのではないかと見られている。

全米の水の規制の改善

McCarthy長官は水の問題を重く受け止めており、「気候変動に関連していまいちばん深刻な問題は何かと聞かれたら、水と答える」と発言している。水資源の枯渇の恐れが叫ばれる一方で、気候変動が進行し、極端な気象事象が頻発すると、老朽化した水道インフラに負荷がかかり、洪水であふれた水への対応も求められることになる。このため、長官はこれまでに構築されてきた各州との水規制における連携関係をいったんリセットし、新しい規制のあり方を模索しようとしている。

タグ「」の記事:

2020年7月10日
台湾環境保護署、「水汚染防止法事業分類および定義」の改正を公告――オイル貯蔵場や貯蔵施設の分類・定義を改める
2020年7月9日
米EPA、飲料水中の過塩素酸塩を規制しない方針を最終決定
2020年7月8日
ベトナム、水資源開発や排水の許可承認に関する手数料を暫定的に減額する通達を制定
2020年7月7日
ベトナム、水資源分野の違反に対する罰則を定める政令を制定
2020年7月6日
中国標準化研究院、「汚水処理装置一式」など3本の国家標準の意見募集稿を公表し意見募集