2013年10月17日、中国環境保護部は業界標準となる国家環境保護標準(HJ)-「水解酸化反応器汚水処理工程技術規範(意見募集稿)」を公布した。水解(加水分解)酸化反応とは、全2段階から成る嫌気性生物処理の第1段階に当たる。水解酸化反応では、まず、複雑な有機物を加水分解により可溶化、低分子化し、その後、生成した低分子物質の酸発酵による揮発性脂肪酸、アルコール類を生成する。
中国では、汚水処理、特に工業廃水処理における処理効率を高めるために、好気性生物処理の前処理として水解酸化反応技術が長年にわたり独自に開発されており、既に広く実用化されている。水解酸化処理フローの概要は以下の通りである(点線内は選択的な設備)。
水解酸化法は染色産業、ビール産業、製薬産業、製紙産業および化学工業からの廃水ならびに合成洗剤廃水などへの有効的な処理方法として知られている。しかし現状では、中国国内各地で水解酸化反応器汚水処理工程の計画、設計、工事、検収および運行管理を規定する標準がない。そのため、水解酸化法汚水処理工事の建設品質および安定的な運行を保証するためには業界標準を定め、規範化する必要がある。このような背景のなか、環境保護部の指示を受け、中国環境保護産業協会、清華大学、北京市環境保護科学研究院などの策定機関は、2009年3月から同標準の策定を進めてきた。
本標準で規定される項目
本標準は、水解酸化反応器汚水処理工程の設計、試験、プロセス制御、施工、検収、運行およびメンテナンスに関する技術要求を規定している。環境影響評価、環境工程建設、環境保護検収および工事建設後の運行と管理の技術的根拠として、本標準を利用することとなる。また本標準は、水解酸化反応器の設計水量の確定方法と設計水質についても規定している。その他、参考として都市汚水、ビール廃水、食品廃水、医療廃水、製紙廃水、化学工業廃水、紡績染色廃水およびゴミ濾液など異なる廃水に対する水解酸化反応器による汚染物処理率が挙げられている。
また、水解酸化反応器は主に上向流式水解酸化反応器、複合式水解酸化反応器、完全混合式水解酸化反応器という三つの類型があるが、本標準には各類型の適用対象、それぞれの設計パラメータおよび計算方法が詳細に規定されている。
中国では、汚水処理場、特に工業廃水処理場の建設ブームが今後も十数年間は続くと見込まれており、本標準はその技術的な規範を果たすものになるであろう。しかし、重要なことはその工事の監督・管理を確実に実施することである。
【関連URL】
原文は下記のURLにて閲覧可能である(中国語:簡体字)
http://www.mep.gov.cn/gkml/hbb/bgth/201310/t20131021_261915.htm