中国、「都市・鎮の排水・汚水処理条例」がようやく2014年1月に施行――多くの課題の解決を目指す

待望されていた「都市・鎮の排水・汚水処理条例」(以下、本条例)がようやく正式に公布され、都市・鎮 での排水と汚水処理が、法により規制されることとなった。本条例は、都市の排水と汚水処理に関する権利と責任を明確化し、都市内の冠水問題、都市の排水と汚水処理施設の計画と建設、雨水と汚水の排出行為のルール設定、汚泥の妥当な処分、再生水の再利用問題など、更にはマンホールの蓋などの施設の管理問題についても規定を設けている。

中国城鎮供水排水協会・排水委員会主任で北京排水集団前総経理の楊向平氏によると、都市・鎮の排水と汚水の処理は政府の公益事業であり、本条例は次の4つの役割を担っている。
(1)都市・鎮の排水と汚水の処理の管理
(2)都市内の冠水災害の防止
(3)都市・鎮の衛生・安全保障の強化
(4)再生水の有効利用の強化

2014年1月1日から本条例は施行されるが、清華大学 環境学院 環境保護産業研究所の傅涛所長によると、給水と排水は公共サービスに属するので、本条例ではサービスという観点から管理を考えなければならないとされている。

本条例の概要

本条例の施行により、都市排水と汚水処理が法治の軌道に乗せられることになる。楊氏によると、政府が一貫して責任主体であり、条例では地方政府の責任が明確にされている。

資金問題は地方政府を悩ませている問題であるが、この問題について、本条例は、県クラス以上の地方の人民政府が、都市の排水と汚水処理の計画に沿って、都市・鎮の排水・汚水処理施設の建設と保持への投資を増加させるよう求めている。

2013年9月に発表された「都市インフラ建設強化に関する国務院の意見」によれば、政府からの資金投入を保障した上で、市場メカニズムの役割を十分に発揮させ、投融資体制と運営メカニズムの改革を推進し、政府と市場の合理的な分業によりインフラへの投融資体制を作り、社会資金の参加と都市インフラ建設を奨励することを求めている。本条例では、国はライセンス経営、政府調達サービスなど様々な取組みを奨励し、社会の資金を誘致し、都市・鎮の排水・汚水処理施設の建設を進めることを改めて明確化している。

汚水処理費については、本条例では、地方の財政予算管理に入れ、都市・鎮の汚水処理施設の建設、運営、汚泥処理処分にだけ使用し、流用しないよう明記している。汚水処理費率をどうするかという問題が当面の大きな課題となる。汚水処理費が汚水処理場のコストをカバーできるかどうか、重点的に再検討を要する。

中国における排水処理分野での問題

都市・鎮の排水と汚水処理は近年来中国で比較的大きく発展してきたが、依然かかえる問題も少なくない。主な問題として次のようなものがある。

(1)都市の雨水排水設備の建設が遅れており、大雨の後の冠水が頻発している。国務院法制弁公室と、住宅・都市・農村建設部の担当者は、一部の都市のインフラ建設には全体計画が欠けており、地上を重視して地下を軽視する、応急措置を重んじて平時の予防を軽視する、排水能力の建設が都市拡張に追いついていないなどの問題があると指摘した。

(2)都市・鎮での排水については、国レベルでは相応の法律が無く、基準値を超えた排水、工業廃液、建築現場の泥水、飲食店の油、医療施設からの汚水などが、処理を経ずに直接に下水パイプ網に流され、パイプ網及び汚水処理場の安全な運転と都市の安全に影響をもたらしている。

(3)一部の汚水処理場では汚水をこっそりと、または基準値超過で流しており、汚泥の不法投棄、放置、規定に適合しない処分などによる二次汚染が発生している。ある地方政府の部門では、排水と汚水処理の管理が欠落しており、法定の職責を履行しない要員への責任追究及び排水者の法的責任について明確な規定が無かったため、「条例」が必要であった。

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