英国、上下水道事業者を選択する自由を企業等の顧客に与える2014年水法が成立

英国で2014年5月14日、上下水道事業者を選択する自由を企業等の顧客に与える2014年水法が女王裁可を得て成立した(以下のリンクに、水法案の原文掲載)。
http://services.parliament.uk/bills/2013-14/water/documents.html

英国環境省によると、本法の目的は次のとおりである。

  1. 英国の水産業界を改革して、創造力に富み責任ある立場で顧客に対応できるようにするとともに、長期的な観点から自由な水市場への円滑な移行を確保する。
  2. 洪水リスクの最も高い地域に居住する家庭向けに、手ごろな価格の洪水保険を2015年から利用できるようにする措置を講じるなど、旱魃や洪水といった自然災害に際して水供給の強靭性を高める。

2014年水法に盛られた上下水道業界に対する主な措置は次のとおりである。

  1. イングランドのすべての企業、慈善団体、公共部門の顧客が、上下水道事業者を2017年から自由に選択できるようにする(以下のリンクに、水市場改革のスケジュール)。
    http://www.open-water.org.uk/media/1040/open-water_phase-plan-060114-ver0-11.pdf
  2. 隣接するスコットランドと、上下水道の供給に関する越境取決めを締結する。
  3. 上水道の新たな水源と下水処理サービスを企業が提供できるよう、新規参入を奨励して競争を促進する。
  4. 水会社同士で水を融通しやすくして、全国水供給ネットワークを整備する。
  5. 小規模水貯水池の所有者が、余った水を公共水道供給者に販売できるようにする。
  6. 水会社が旱魃対応計画を作成する必要のあるレベルを、大臣が設定できるようにする。
  7. 住宅開発業者が新規の宅地開発事業を行う際、新たな上下水道会社の給水本管/下水道システムと連結できるようにする。
  8. 下水処理事業者の事業統合に係る規則をより良いものにする。
  9. 水道産業界に対する規制を改善するため、長期的な観点から水供給の強靭性を高める改革を実行する包括的な新たな義務を、英国水サービス規制局(Ofwat)に課す。

英国政府が講じるそれ以外の追加措置は次のとおりである。

  1. 持続可能な取水を回復する措置を講じる。
  2. 水資源の管理と旱魃計画の運用の方法をより良いものにする。
  3. 水会社が取水や貯水の許可を取る際、複数ではなく単一の申請ですむよう、環境許可の枠組みを簡素化する。
  4. 「持続可能な排水システム(Sustainable Drainage Systems)」の活用を推奨する。

タグ「, , 」の記事:

2020年7月10日
台湾環境保護署、「水汚染防止法事業分類および定義」の改正を公告――オイル貯蔵場や貯蔵施設の分類・定義を改める
2020年7月9日
米カリフォルニア州政府、飲料水中のマイクロプラスチックの定義を発表
2020年7月9日
米EPA、飲料水中の過塩素酸塩を規制しない方針を最終決定
2020年7月8日
ベトナム、水資源開発や排水の許可承認に関する手数料を暫定的に減額する通達を制定
2020年7月7日
ベトナム、水資源分野の違反に対する罰則を定める政令を制定