米国カリフォルニア州公衆衛生局(CDPH)は、米国で初めての飲料水に含まれる六価クロムの基準の制定に近づいた。
CDPHは2014年4月15日、公共の飲料水に10 ppbという最大汚染物質濃度(MCL)を設定する最終規則案を同州行政法局(OAL)に提出した。
OALによる審査には最長で30就業日かかる可能性があるが、承認されれば最終規則案は州務長官に提出され、基準は2014年7月1日から施行されることになるとCDPHは述べた。
六価クロム基準制定で懸念される影響
南カリフォルニア水委員会(Southern California Water Committee)のRichard Atwater事務局長は、今回の六価クロム基準の制定により水道料金が2倍になる地域社会が出てくる可能性があると指摘する。同事務局長によると、CDPHは、飲料水から六価クロムを処理して除くのに必要なコストを低く見積もっているという。
いっぽう、カリフォルニア州水局協会(Association of California Water Agencies)は、六価クロムのMCLを達成するために既存のインフラの設備を大幅に改良しなければならない水局があることを懸念する。というのも、その場合、最長で5年間かけてMCLを段階的に導入することが許される連邦の安全飲料水法(SDWA)と違って、カリフォルニア州の新基準は、最終決定された6か月後には遵守しないと違反とみなされるからである。
規制の背景
六価クロムは、カリフォルニア州の58の郡のうち51郡の水道で検出されている。この物質は産業での利用によって地下水を汚染し、それほどではないが地表水も汚染している。
カリフォルニア州には現在、必要な栄養素である三価クロムと六価クロムを含む全クロムについて50 ppbという飲料水基準がある。いっぽう、連邦の環境保護庁(EPA)の全クロムのMCLは、100 ppbと定められている。
カリフォルニア州では2001年、州政府に対して2004年1月1日までに六価クロムのMCLを採択するよう求める州法が成立した。しかし、州環境健康有害性評価室(OEHHA)が飲料水に含まれる六価クロムの公衆衛生目標(PHG:public health goal)――2 ppb――を設定するプロセスの第一段階を終えたのは、2011年のことであった。
その後、2013年8月に、カリフォルニア州の裁判所は、CDPHに対し、2014年6月15日までに六価クロムの最終基準を公布するよう求めた。CDPHのRon Chapman局長は、法律が求める経済的・技術的実現可能性を考慮すると、10 ppbという六価クロムの飲料水基準で公衆の健康を保護できると述べている。