中国環境保護部(MEP)は2014年2月19日付の2014年第14号公告で、「現地環境調査技術ガイドライン」(HJ25.1-2014)、「現地環境観測技術ガイドライン」(HJ25.2-2014)、「汚染地リスク評価技術ガイドライン」(HJ25.3-2014)、「汚染地土壌修復技術ガイドライン」(HJ25.4-2014)および「汚染地用語」(HJ682-2014)を公布した。
この5つの環境標準は2014年7月1日より実施し、「工業企業土壌環境質リスク評価基準」(HJ/T25-1999)は同時に廃止することとしている。
この一連の環境標準は、汚染地の環境状況の調査、リスク評価、修復への技術的なサポートであり、土壌および地下水汚染防止に関する法律体系の基盤となっている。
5つの環境標準の制定の背景
MEPの責任者は、汚染地とは、有害物質の生産、経営、処理および貯蔵、潜在的な危険性のある廃棄物の放置および処理、そして鉱山の採掘に伴い汚染が生じた土地、且つ関連調査およびリスク評価でそれに伴い生じた汚染の危害性が人体健康および生態環境の受容力を超えていることが判明された土地であると定義されるとした。
同責任者は、「中国では、長年の急速な産業化と共に、各地方では、農薬、精錬、電気メッキなどの工業企業、化学品貯蔵施設および固形廃棄物処理場が多数存在し、多くの企業は敷地内でPOPs、VOCなど毒性の高い有害物質を含む多種多様な汚染物質を放置している。都市化の加速のため、多くの企業は廃止、閉鎖および移設されると共に、土地用途を変更しており、それらの際には汚染浄化、汚染防止、環境リスクコントロールを行わなければならない。しかしながら、現行の「土壌環境質量標準」(GB15618-1995)、「地下水質標準」(BG/T14848-93)および「工業企業土壌環境質リスク評価基準」(HJ/T25-1999)は現状に合わないと見られるため、MEPは2006年から汚染地環境管理の関連標準の策定を開始してきた」と語った。
5つの環境標準の特徴
現在、土壌および地下水の管理について、上位法は整備されておらず、地域間格差が大きく、関連要因が多数存在するため、上記の5つの環境標準の制定および実施は大気や地表水の環境標準の状況と異なる。
同責任者は、「土壌および地下水の環境保護目標あるいは汚染防止目標の確定に向けては、まず環境質標準に従わなければならない。環境質標準に定められていない項目については、上記の5つの環境標準に基づき確定された土壌および地下水の環境リスクに関するコントロール数値を汚染地の土壌および地下水管理の目標数値として利用し環境管理を行うべきである。ただし、現在法律が十分に整備されていないため、5つの環境標準は技術面での規定に過ぎず、環境管理に関する要求事項を規定していない。したがって、5つの環境標準を実施する際、「環境保護法」で定められた原則および「最近土壌環境保護および総合治理に関する手配」(国弁発[2013]7号)、「工業企業敷地の再開発利用についての環境安全の保障に関する通知」(環発[2012]140号)などの公文書に基づき実施しなければならない」と説明した。
さらに、同責任者は、上位法の整備以外にも、5つの環境標準の実施に際して以下の3つの難題が存在すると指摘した。すなわち、
- 汚染地の環境調査、リスク評価および修復分野の専門家が足りない
- 汚染地リスク評価のデータおよび過去の情報が少ない、且つ体系化されていない
- 汚染地の観測、評価、治理、修復に使われる装置はほとんど輸入品であり、中国国内で研究、生産されたものが少ない
上述の問題に対して、今後、MEPは関連部門と共同で土壌、地下水の環境保護行動を企画し、政策を改善し、環境保護に関する法律体系の構築を促進する。
【関連URL】
5つの環境標準は下記のURLよりダンロード可能である(中国語:簡体字)。
http://www.zhb.gov.cn/gkml/hbb/bgg/201402/t20140224_268193.htm