2014年5月20日に米国下院で採決される予定の水資源関連法案が法律になれば、ストームウォーター(雨水など流出源を特定できない流出水)や廃水を捕集、リサイクルそしてリユースするプログラムなど、水質浄化法(CWA)の下の州回転基金(SRF:state revolving fund)プログラムに基づく貸付金の対象となるプログラムの種類が増えることになる。
上下院議員は2014年5月15日、今後5年間米国の全域で水インフラ関係プロジェクトを認めることになる「水資源改修開発法(WRRDA:Water Resources Reform Development Act)案(H.R. 3080)」に関する会議報告書を発表した。
この報告書によれば、SRFプログラムは、財政的支援の対象となる水質関係プロジェクトおよび水インフラ関係プロジェクトの数を特定することによって修正される。
SRFは、水インフラ・水質関係プロジェクトに資金を提供するために、低利貸付金(場合によっては助成金)を都市や町に提供している。
上記以外のWRRDAの要点は、次のとおりである。
- SRFからの貸付金は、公営廃水処理システムの建設や修繕のための資金提供に加えて、次のことにも使用できる。
- 不特定汚染源の管理
- 分散型廃水処理システムの建設、修繕および入れ替え
- 廃水処理施設における化学的安全保障の改善
- 公営廃水施設におけるエネルギー消費の軽減
- 河口の管理
- SRFからの低利貸付金の返済期間を20年から30年に延長する。
- 水やエネルギーの効率改善目標に取り組み、ストームウォーターの流出を軽減し、持続可能なプロジェクトの計画、設計および建設を促進するためのプロセス、材料、技術、あるいはテクノロジーを試みる当局の改善に関連して都市あるいは町が負った借金を免除することを州政府に認める。
- 港湾、内水面水路、ダム、水門、堤防および生態系回復のための米陸軍工兵隊(USACE)のプロジェクトを認める。その際、米国製の鉄鋼製品の使用を求め、またDavis-Bacon法で規定されているようにその地方の一般的な賃金を労働者に支払うためにSRF資金を活用することを当局に求める。
- 州政府は、市町村には困窮することなく上下水道の敷設率を増やす余裕がないと分かった場合、SRFを用いて支払った貸付金の元金あるいは利子を免除することが認められる。
- 2000万ドル(約20億5000万円)以上かかる飲料水・廃水関係プロジェクトのために、財務省が支援して貸付金や借入保証を提供する「水インフラ財源・新機軸法(Water Infrastructure Finance and Innovation Act of 2013)」案(S.335)として知られる貸付金の5年間の試験的なプログラムを認める。
なお、S. 335は、2013年2月に提出された後、議会での審議はまったく動いていない。
注)WRRDA(H.R.3080)は2014年6月10日、オバマ大統領が署名して法律になっている。