2015年7月下旬に報じられたところによると、水資源問題が深刻化する中国では、持続可能な発展に向けて、効率的な水資源管理・総合利用がますます重要な課題となってきており、政府は、節水と水利用効率の向上をより一層重視して推進する意向を示している。これに関して、水利部の陳雷部長は、引き続き水利事業の安定成長メカニズムを構築していくとともに、公共財政投資の成長を推進する方針を示している。さらに政府は、民間投資を奨励し、PPP/BOT/TOTなどの融資・経営モデルを奨励し、投資助成、税制優遇などの措置を通じて、民間資金の導入を促進する方針であるという。
また、工業情報化部省エネおよび総合利用司の高雲虎司長は、節水・汚染防止グリーン産業を育成するとともに、節水・汚染防止設備製造業の発展を支援し、節水・汚染防止設備と材料の大規模生産を奨励するなど、多方面から節水事業を推進する方針を打ち出している。さらに、発展改革委員会が、北京や天津の節水と海水淡水化関連パイロット事業などを考察したことを受け、関連業界は海水淡水化関連企業の動向に注目している。
関係筋によると、北京と天津は同様に水資源不足に悩まされており、節水関連事業の展開が進んでいる。具体的には、以下の取り組みが実施されている。
(1) 法律法規制度の整備:
天津市は給水、節水、地下水、水再生利用関連法規計27部を制定している。
(2) 産業構造の調整による節水推進:
北京市は、水消費の高い産業を排除し、農業構造転換、高付加価値のサービス業へ転換などによって、工業用水ゼロ成長、農業用水マイナス成長を実現し、水再生利用率も徐々に上がっているという。
(3) 経済手段の活用:
北京市は、2014年から段階料金制を導入している。特に洗車、純浄水、入浴施設などの特定業界については1トンあたり160元(約3200円)の超高料金制を実施している。また、農業節水の面においては、「構造変換、効率的節水農業の発展に関する意見」を公布し、計量システムの普及、水量規制、節水奨励金などを通じて農村地域における節水を推進している。
(4) 非常用水源利活用の推進:
天津市では、海水淡水化による浄水能力が日量31.6万トンに達しており、この値は全国1位となっている。また、天津市は「工業+市政」給水モデルと「Point-to-Point」工業給水モデルの示範都市でもある。天津市北疆発電所は火力発電の余熱を海水淡水化に利用し、構内の電気消費を賄うほか、毎日市政へ5万トン給水できるという国内初の大規模市政給水海水淡水化パイロット事業に成功している。北京市は、2004年から水再生利用を開始し、2014年に水再生利用量が全市総用水量の23%を占めるようになったという。
中国では、水資源不足や水質汚染などの水問題の深刻化につれて、水資源の安全保障が中国国家戦略の重要な部分となっている。「水汚染防止行動計画」の発表によって中国水資源保護と汚水処理産業発展の方向性が明確に示されており、中国各級政府部門は引き続き関連産業への支援を強化するものと見込まれている。