マレーシア天然資源環境省・環境局(DOE)は、2015年7月6日、「環境質(産業排水)(改正)規則案」(以下、本規則案)を公開した。本規則案は、現在の「2009年 環境質(産業排水)規則」の一部分を改正するものである。公布予定時期については未定。
オンラインでの排水監視システムの導入
本規則案では、2009年規則の第7条「産業排水の監視」の(1)に新たに、オンライン・システムの導入を義務付ける項目の追加が規定されている。この監視システムは、マレーシア天然資源環境省・環境局(DOE)に接続されるもので、測定装置についてはDOEの長官が定める仕様を満たしていなければならない。
排水基準の許容限界値に関する第5表の改正
本規則案では、約30項目にわたる排水規制項目およびその許容限界値を規定する第5表について以下の改正点が規定されている。
- 「三価クロム」の削除
- 「全クロム」および「大腸菌」の追加
また、2009年規則の第5表で定められている「フッ化物」および「アンモニア性窒素」については第5表から削除されたが、別途「第5表A」という形で新たに規定されている。この第5表Aによると、2009年規則と異なるのは、既存の排水処理システム(ここで言う「既存」とは2010年12月31日以前に導入された場合を指す)を有する「半導体デバイス産業」についてのみで、下表の排水基準値が定められている。なお、ここで言及される「半導体デバイス(semiconductor devices)」とは、有機半導体はもちろんのこと半導体材料(主にはシリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素)の電子特性を利用する電子部品を指す。
2016年1月1日~ 2019年12月31日 |
2020年1月1日~ | |||
A | B | A | B | |
フッ化物(mg/L) | 15.0 | 15.0 | 2.0 | 5.0 |
アンモニア性窒素(mg/L) | 10.0 | 20.0 | 10.0 | 20.0 |
上表の基準Aと基準Bの違いについては、以下の通りである。
- 基準A 2009年規則第6表で指定される特定地域
- 基準B 基準A以外の地域
本規則案の原文は以下よりダウンロード可能である。
http://www.doe.gov.my/portal_services/wp-content/uploads/2015/07/EP-Pindaan-seranta-awam.pdf