米国環境保護庁が年明けにも水圧破砕法で使用する化学物質の規制スケジュールを発表――周辺の水質汚染発生の指摘を受け

2015年8月25日、米国環境保護庁(EPA)が年明けにも水圧破砕法で使用される化学物質に関する情報開示規則の制定に向けた予定を発表する見通しであることが伝えられた。水圧破砕法は、2012年に実用化され、これまで抽出不可能だった地下のシェール(頁岩)層に眠る天然ガス(シェールガス)を抽出可能にしたことにより、世界のエネルギー事情を一変させたと言われる技術だが、この方法で使用される化学物質によって周辺で水質汚染が発生するという指摘があり、EPAは規制に向けた動きを進めている。

EPAが有害物質規制法(TSCA)第21条に基づいて水圧破砕法で使用される化学物質の規制を求める陳情を受けたのは2012年1月のこと。EPAでは、それより前の2007年からこの非在来型天然ガス採掘技術について包括的な規制の動きを始めていたが、化学物質の使用に関する規制の動きが始まったのはこの陳情を受けてからであり、2年後の2014年3月に行政管理予算局(OMB)に事前規則制定案通知(ANPRM)を提出して規制の審査を申請してから、コメント募集などを行ってきた(下記URL参照)。
http://yosemite.epa.gov/opei/rulegate.nsf/byRIN/2070-AJ93

今回、年明けの規則制定のスケジュールの発表の見通しが伝えられたのは、2015年7月16日にEPAの監察総監室が「EPAの監視と対策を強化することにより水資源を水圧破砕法の潜在的影響からさらに保護することが可能」という報告書(下記URL参照)を出したため。監察総監室はEPAに対して、改善の必要がある点として次の2点を指摘していた。
http://www.epa.gov/oig/reports/2015/20150716-15-P-0204.pdf

ディーゼル燃料を使用する水圧破砕法に関する許可発行の手続きの監視の強化
これまでのところ、ディーゼル燃料を使用している採掘業者はEPAや優先州の商用地下注入管理Class II許可(下記URL参照)を申請していない。
http://www.epa.gov/r5water/uic/forms/commercial.htm

水圧破砕法で使用される化学物質に関する公衆の懸念に応じた規則制定計画の作成
EPAは2014年5月に水圧破砕業者の化学物質に関する情報開示を求める連邦規則を制定するかどうかを評価するプロセスを開始したが(上記のANPRMのページのコメント募集を指す)、その後の規則制定スケジュールを示しておらず、これを示すと公衆の安心が得られる。

今回の見通しは、この後者の点に基づいて示されたものであり、監察総監室は先の報告書の中で、EPAの化学物質安全・汚染防止局の局長補佐に対して、水圧破砕法で使用される化学物質および混合物に関する情報の開示を求める規則を制定するかどうかを決めるプロセスを、目安の日付も示して、スケジュールにまとめ、発表することを勧告している。

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