台湾、水汚染防止法に基づく「健康有害物質の種類」を改正――対象物質を追加し、排水規制を強化

台湾行政院環境保護署は、2015年8月31日、「健康有害物質の種類」の改正について公告した。今回の改正では、事業から排出される放流水が水系環境に与える影響を低減し、廃水のリスク管理を強化するため、30項目48種類の有害健康物質が改訂増補された。いかなる事業であれ、地下水系に流入、または土壌もしくは水系に排出する廃(汚)水に含まれる健康有害物質が各規制基準を超えている場合、刑事責任を負うことになる。

環境保護署によると、今回の改正は、2015年2月4日の水汚染防止法の改正で、同法第36条第2項から第3項に移行された“健康有害物質の種類”に対応したものである。加えて、本公告が2002年8月30日の改正からすでに12年経過していること、同期間に相次いで規定または公布された幾つかの特定事業別の放流水基準で、特定有機物、重金属などの規制項目がすでに改訂増補されていること、台湾RCA(アメリカ・ラジオ会社)の事件で特定汚染物質による汚染の事実が明らかになったこと、および産業の製造工程での原料のうち毒性を持つ化学物質または発がん性物質が、すでに人体の健康にある程度の悪影響を与えていることから、現行の公告では健康有害物質の種類が明らかに不足しているため、健康有害物質の種類について検討する必要が生じており、廃(汚)水による環境汚染リスクおよび環境蓄積性を低減させるため、今回の改正に至った。

主な改正点

今回の改正により、追加されたのは計30項目(48種類)、名称が改正されたのは5項目で、健康有害物質は合計60項目(95種類)となった。主な改正内容は以下のとおりである。

(1)  放流水基準の規制項目名の改正に合わせて、「フッ化物」は「フッ化物塩」、「有機水銀」は「メチル水銀」に修正され、「総有機リン剤」、「カルバメート系」および「除草剤」は、それに含まれる化合物が明確に表示された。

(2)  インジウム、ガリウム、モリブデンなど金属3項目は特定産業の製造工程化学品とされ、人体の健康に対する危険性を有するため、健康有害物質に加えられた。

(3)  コバルトおよびベリリウムの金属2項目、ジクロロメタン、クロロホルム、ベンゼン、エチルベンゼン、1,2-ジクロロエタン、クロロエチレン、フタル酸ジ-n-オクチル(DNOP)フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHP)、フタル酸ジメチル(DMP)、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ベンジルブチル(BBP)、ニトロベンゼン、トリクロロエチレン、総フェノール、ホルムアルデヒド、全有害有機物、総トリハロメタン、四塩化炭素、1,1-ジクロロエチレン、ダイオキシン、パラジクロロベンゼンなど22項目(40種類)の有機物を含む毒性を持つ化学物質、発がん性など人体の健康に対して危険性を有する物質が追加された。

(4)  台湾RCA(アメリカ・ラジオ会社)による汚染の事実が明らかになったことを考慮して、当該工場用地の地下水から過去に基準値を超えて検出された1,1-ジクロルエタン、シス-1.2-ジクロロエチレン、テトラクロロエチレンなど化合物3項目が健康有害物質に追加された。

環境保護署は、今回の改正によって、実効的な厳罰や違法行為の阻止を徹底し、廃水処理施設を適切に取り扱うよう業者を促して、環境水系の保護を助け、水系水質の継続的な浄化を促進し、快適な水辺環境を国民に提供できることを強調した。

上述の「健康有害物質の種類」の改正公告は、以下のURLよりダウンロードできる。
http://ivy5.epa.gov.tw/docfile/061100.pdf

タグ「」の記事:

2020年7月10日
台湾環境保護署、「水汚染防止法事業分類および定義」の改正を公告――オイル貯蔵場や貯蔵施設の分類・定義を改める
2020年7月9日
米EPA、飲料水中の過塩素酸塩を規制しない方針を最終決定
2020年7月8日
ベトナム、水資源開発や排水の許可承認に関する手数料を暫定的に減額する通達を制定
2020年7月7日
ベトナム、水資源分野の違反に対する罰則を定める政令を制定
2020年7月6日
中国標準化研究院、「汚水処理装置一式」など3本の国家標準の意見募集稿を公表し意見募集