プロポジション65として知られる米カリフォルニア州安全飲料水および有害物質取締法の発がん性原因物質を含む廃水を不適切に処理または処分し、周辺の地表水や地下水を汚染したとして環境団体に訴えられていた油田関連廃水処理処分会社が、これらの物質の放出を制限する処理システムを導入するとともに、民事制裁金など合計約20万ドル(約2000万円)を支払うことに同意し、原告側と和解した。2016年7月28日に環境団体側が発表した。プロポジション65は、予見される規制対象物質への人体の曝露に対して事前警告を行うことを事業者に義務付ける法律として知られているが、同法には、事業者が一定量を超える規制対象物質を飲料水源への混入が予見される水域に意図的に放出することを禁止し、州の飲料水を保護する条項も盛り込まれている。
今回の訴訟の原告であるAssociation of Irritated Residents、Clean Water FundおよびCenter for Environmental Healthの3つの環境団体は、カリフォルニア州Kern郡のEdison油田とその周辺で石油・ガス生産から排出される廃水の処理処分施設を運営しているValley Water Management Co.(以下Valley社)がプロポジション65の「発がん性の原因物質として州に知られている化学物質」であるベンゼン、エチルベンゼン、ナフタレン、およびトルレンを含む廃水を地域の飲料水源に放出していると主張し、2015年10月、同社を相手どり訴訟を起こした。環境団体によると、Valley社は462の石油・ガス廃水ピットを備えた28の施設を運営しているが、漏水処理が施されていない(unlined)ピットに廃水を溜めていたほか、少なくともひとつの施設では廃水をスプリンクラーで丘の斜面にまき散らして処分していたという。
環境団体が発表した同意判決のもと、Valley社は、貯蔵タンクを導入する、あるいはピットに漏水処理を施すなどしてプロポジション65の規制対象物質が地下水などへ放出されないようにするとともに、これらの物質の濃度を下げる処理技術を導入して、2か所の廃水処理処分施設を大幅に改善することになった。また、同社は、民事制裁金8万ドル(約800万円)、原告である環境団体側の弁護士費用10万3470ドル(約1000万円)など、合計19万8470ドル(約1980万円)を支払うことにも同意した。
報道によると、処分ピットへの有害な石油・ガス廃水の放出を制限するプロポジション65訴訟は、今回が初めてである。
【関連URL】
Valley Waterに送られた違反通告(2015年10月2日付け):
http://oag.ca.gov/system/files/prop65/notices/2015-00986.pdf