米環境保護庁(EPA)は2016年12月13日、水圧破砕が飲用水の水質等におよぼす影響についての科学的調査の結果をまとめた最終報告書を公表した。“Hydraulic Fracturing for Oil and Gas: Impacts from the Hydraulic Fracturing Water Cycle on Drinking Water Resources in the United States”(石油およびガスを目的とした水圧破砕の水サイクルが米国の飲用水資源におよぼす影響)と題するこの報告書は、水圧破砕に使う水のサイクルをつぎの5段階に分け、各段階における影響を検討している。
- 水圧破砕に使用する水を手に入れる(取水)
- 水を添加剤と混合し、水圧破砕用の液体にする(化学物質との混合)
- 水圧破砕用液体を石油・ガス採掘井戸に注入する(採掘井戸への注入)
- 採掘井戸から戻ってくる廃水を回収する(油汚濁水の回収)
- 廃水を処分または再利用する(廃水の処分と再利用)
これらの各段階において水圧破砕が飲用水に大きな影響をおよぼすおそれのあるケースとして、報告書は以下のものをはじめとする例を挙げている。
- 水が豊富でない時期や地域、特に地下水が豊富でなかったり減少傾向にあったりする地域において、水圧破砕用のための取水をすること
- 水圧破砕用の液体、混合する化学物質、または回収した油汚濁水が処理中に漏出し、大量の化学物質または高濃度の化学物質が地下水に入り込むこと
- 水圧破砕用の液体を欠陥のある井戸に注入することで、ガスや液体が地下水中へ移動すること
- 水圧破砕用の液体を地下水に直接注入すること
- 水圧破砕の廃水を処理が不十分なまま地表水に排出すること
- 水圧破砕の廃水をライニングのないピットで処分したり貯蔵したりしたりして地下水を汚染すること
なお、この最終報告書のエグゼクティブ・サマリー、本文、および付録は、以下のウェブページからダウンロードすることができる。
https://cfpub.epa.gov/ncea/hfstudy/recordisplay.cfm?deid=332990