官民連携による水事業の世界の成功事例紹介(ルーマニア、ドイツ、フィリピン、モロッコ、ブラジル、米国)

スペインの水関連情報専門サイトのiaguaで、世界の官民連携による水事業の成功事例が紹介されている。水資源は言うまでもなく公の資源であるが、これを政府が管理すべきか民間の手を借りるかは、意見が分かれるところとなっている。民間企業との連携で成功している例として、以下が挙げられている。

ルーマニアの首都ブカレスト

2000年の入札で、Veolia社の子会社が25年間の上下水サービスを落札した。ブカレスト市役所が16%、サービス会社の従業員が10%の株主となっている。ブカレスト市の人口は2百万人であるが、2002年には46%だった住民の上下水サービスに対する満足度は、2008年には75%に上昇している。また漏水削減による節水で、水道料金はルーマニア全国33の上下水サービスで15番目に安いものとなっている。ルーマニアで国の補助金を受けていない数少ないサービス会社の一つであり、2000年から2013年の間に60%の省エネも達成している。

ドイツ北部のロストック市

人口31万人の港町であるロストック市では、1993年に25年間の官民提携上下水サービスが開始した。バルト海に面している為、ヘルシンキ条約により海域への排水基準が厳しいものとなっているが、その基準遵守を達成して2003年には近隣の町にもサービスを広げ、下水道普及率を28%から93%に高めた。

フィリピンのアパリット市

マニラ市北部60kmに位置するアパリット市では人口増加に上下水サービスが追いつかず、近郊の村では井戸水の汲み上げにより飲料水が供給されていたが、2003年にBilbago Waterwork Systems社が近代的な井戸とパイプラインを設置して、13万人の住民に飲料水を供給するようになった。資金は全て利用者の水道料金で賄われている。

モロッコのタンジェ市

2002年にVeoliaの子会社による、25年間の官民連携上下水及び電気サービスが始まった。同社は12年間に投資の50%を排水処理にあて、観光客の多い街の環境改善を図っている。また住民の32%を占める水使用料が少ない利用者に対しては、同社の水の調達コストよりも安い料金が提供されている。

ブラジルのリメイラ市

1995年に同市で、ブラジルで初めての上下水サービスのコンセッションが始まり、Odebrecht社が落札した。下水道普及100%を達成し、2%だった下水処理率を2011年には100%として、ピラシカバ川の汚染を改善した。また5000の低所得世帯に対して同社自身の補助金で、特別料金を提供している。

米国のフィルモア市                                 

ロサンゼルス近郊のフィルモア市の汚水処理プラントの設計、建設、運営を2007年に落札したAmerican Water社は、処理水は灌漑用水に使えるための基準を達成しなければならないという規制をクリアしている。ピーク時間外にエネルギーを使用することでコストを削減し、膜分離活性汚泥法(MBR)と紫外線消毒により従来の処理場よりも10倍清浄な処理水を達成した。一日に20万ガロンの水が公共の場や民間施設の灌漑に使用されている。

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