タイ、水資源法案のパブリックコンサルテーションを開催

2017年11月15日付けの現地からの報告によると、2017年9月、タイで水資源を統合的に管理するための法案のパブリックコンサルテーションが開催された。この法案は「水資源法(Water Resource Act)」のドラフト(以下、「本法案」)であり、2015年に水資源省が内閣に提出・承認し、9月28日に国民立法議会に送られたものである。

パブリックコンサルテーションにかけられた時点での本法案の概要を以下に記す。

  • 本法案は、水資源の利用、開発、管理、維持、メンテナンス、回復、保全を統合的かつ優先順位に従って実施することを基本的な理念とする。そのための措置として、洪水・干ばつの防止、国民の水を使用する権利の尊重、国家および地域の水資源を管理する機関の設立、国民の啓発を行う。
  • 本法案において「水資源(water resources)」とは、大気水、河川水、地下水、海水をいう。「公共の水資源(public water resources)」とは、その利用を共有しなくてはならない水資源をいう。
  • 第1章には、公共の水資源を開発する権利は政府が有すること、地方政府は水の利用の優先順位をつける義務を負うことなどが規定される。
  • 第2章は水に関する権利について規定する。公共の水資源は全ての者に帰属し、何人も、他者の水利用に問題を引き起こさない限り、水を使用・保管することができる。
  • 第3章は水資源を管理する機関「国家水資源委員会(National Water Resource Committee)」について規定する。同委員会は、国家レベルでの方針と計画を策定し、一方で「流域委員会(Basin Committee)」は、自らの管轄流域について水資源の利用、開発、管理、維持、回復、保全に関する計画を策定する義務を負う。
  • 第4章は、水の割り当てについて規定する。水の利用を3分類する:第1は生活用途および水を大量消費しない活動、第2は産業利用(農業、工業、観光、エネルギー分野を含む)、第3は流域の水量に影響をおよぼすような水利用をいう。第2、第3には使用制限と使用料が課せられる。
  • 第5章は、干ばつと洪水について規定する。流域委員会は、「干ばつ防止・解消計画」および「洪水防止・解消計画」を策定し「干ばつ地帯」および「洪水地帯」を指定しなくてはならない。これらの地域においては、洪水路の設置などの対策をとることが義務づけられる。
  • 第6章は、公共の水資源の保全と開発について規定する。水源エリアは国家環境保全推進法(Enhancement and Conservation of. National Environmental Quality Act B.E.2535)の下、「環境保護区」として保全される。またこの他、土地使用の制限や水資源の保全に関する基準などの措置が含まれる。
  • 第7章は、当局の職員の立ち入り検査を行う権限について規定する。
  • 第8、9章は、行政罰および刑事罰について規定する。公共の水源に損害を加えた者は、その回復に掛かる費用を負担しなければならない。

2年間の検討を経た本法案は、今後間もなく仕上げ、署名されると見られているが、依然としていくつかの懸案事項、特に水利用の分類と料金についての懸念が多く指摘されており、首相本人も農業目的の水利用に許認可取得の義務と料金を課すことに反対を表明している。これらの懸念について、どこまで修正されるかが注目されている。

本法案の最新のドラフトについては、以下のページから閲覧可能である(タイ語のみ)。
http://www.senate.go.th/w3c/senate/comm.php?url=home&comm_id=21206

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