シンガポール、1年間で74の建設会社が水質汚染違反で罰金刑

シンガポールで、2017年12月26日、74の建設会社の水質汚染に対して罰金が科されたと同国公共事業庁(PUB)が発表した。発表によるとこれらの会社は、建設現場において十分な土壌管理措置(Earth Control Measures)を実施せず、運河に泥水を流出したという。2017年に罰金を受けた建設会社のリストは以下の通り。
https://www.pub.gov.sg/sites/assets/PressReleaseDocuments/ECM%20press%20release_Annex%20A.pdf

この74社という数は、過去3年間に処罰された違反件数(平均100件/年)よりは低い水準であるものの、環境に悪影響を及ぼしているという。こうした法令違反の多くが、掘削作業や土壌基礎工事が行われている現場において露出した土壌に雨水が混じり、泥が排水路や水源へ流れ込むことにより発生している。現在シンガポール国内には、土壌基礎工事が行われている現場がおよそ1000箇所存在する。PUBはこの泥の影響について、「建設排水から泥が取り除かれなければ、泥は水路に堆積し、豪雨により増水した際の水の流れを妨げ、また環境の美しさにも悪影響を及ぼすこととなる」と説明した。

PUBは、今回問題となった74社のうち、悪質な違反として4社を挙げている。筆頭は今回で4件目の違反となったHuationg Contractor社であり、1万3500 SGD(約113万円)の罰金を科されている。同社は過去に、PUBが定める基準に沿った土壌管理措置を実施していないことを理由として2度摘発され、3500 SGD(約29万円)の罰金を科せられていたが、今回さらに新たに2件の違反(排水の水質基準違反およびPUBから必要な許認可を得ていなかった)により1万SGD(約84万円)の罰金を科せられた。2社目のSamwoh社については過去、排水の水質基準違反を摘発され、2500 SGD(約21万円)の罰金を科せられていたが、今回さらに2件の違反(水質基準違反および土壌管理措置の見直しを指示するPUBの命令を無視した)により8000 SGD(約67万円)の罰金を科され、合計1万500 SGD(約88万円)の罰金刑に処されている。残りの2社はPeng Chuan Engineering Construction社およびStallion Development社であり、両社はPUBの許可を受けることなく事業を実施し、下水道に泥水を排出していたことで、それぞれ7800 SGD、7000 SGD(約65万円、59万円)の罰金を科されている。

PUBは発表の中で、「すべての建設会社は、自らの現場内で、土壌管理措置を計画し、実施することを義務づけられている」とした上で、土壌管理措置の実施について、PUBが定期的に検査を行っていると述べた。建設工事の進行状況や土木基礎工事の規模に応じて、検査の期間は隔週から2カ月に1度と異なる。PUBの排水管理チーフ技師のChoy Wai Kwong氏は、「我々の水源を守るためには、我々一人ひとりが清浄な水を守るべく、自らの役割を果たさなくてはなりません。PUBが請負業者と緊密に連携し、業界の競争力を高めるとともに土壌管理措置に関する高い水準を維持することが共有(co-ownership)アプローチを採用することが重要です」とコメントしている。

シンガポール請負企業協会(Singapore Contractors Association)の会長Kenneth Loo氏は、同協会は、PUBと協力し、ベストな環境実務および満たすべき要件を業界で共有するための土壌管理措置ガイドブックを作成し、定期的に改訂しているとして次のように述べた。「請負業者としての我々の役割は、シンガポールの水路を清浄で美しいものに保つ上で重要です」

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