米国EPA、WIFIAプログラム初となる融資の提供を発表

米環境保護庁(EPA:Environmental Protection Agency)は2018年4月20日、水インフラ融資イノベーション法(WIFIAWater Infrastructure Finance and Innovation Act)プログラムに基づき、1億3450万ドル(約146億8834万円)に上る融資(ローン)を、ワシントン州キング郡政府へ提供すると発表した。同プログラムを通じた融資提供は今回が初めてとなる。キング郡政府は現在、合流式下水道越流水の処理施設「Georgetown Wet Weather Treatment Station」の建設を計画しており、今回の融資額は同施設の建設財源の一部に充てられる。

2014年に制定された水インフラ融資イノベーション法(Water Infrastructure Finance and Innovation Act)に基づき立ち上げられたWIFIAプログラムは、全米の上下水道インフラの設備投資を促進することを目的としている。国家及び地域にとり重要とされる水インフラプロジェクトに対して、長期固定型低金利の融資を提供する。WIFIAプログラムは、老朽化した国内の水インフラの再整備を約束するトランプ大統領の意向を反映している。EPAのScott Pruitt長官は、「今回の融資提供は、国内の水インフラを改善するというトランプ大統領のビジョンを進める上で大きなマイルストーンとなる。EPAが展開するWIFIAプログラムは、環境保護と経済成長とを同時に達成できる確固たる政策である」と述べた。

ワシントン州キング郡デュワミッシュ・バレー(Duwamish Valley)では、豪雨時に合流式下水道管が雨水で溢れ、大量の未処理の越流水がデュワミッシュ川、引いては下流のピュジェット湾へ放出されている。そのため、同郡政府は、この越流水を処理する「Georgetown Wet Weather Treatment Station」の建設を計画している。同処理施設は2022年に竣工する予定であり、これまで悪天候の際に越流水として河川へ放出されてきた未処理水を1日当たり最大7000万ガロン収集、処理する能力を有する。この水インフラプロジェクトの実施コストは2億7500万ドル(約300億3192万円)に達するものと見られており、全体コストの約半分に当たる最大1億3450万ドル(約146億8834万円)が、WIFIAプログラムから融資される。提供されるローンは長期固定型低金利であるため、これを活用することでキング郡政府は通常の借入金と比較して最大3200万ドル(約34億9462万円)を節約することができる。さらに、同プロジェクトでは、1400件に及ぶ新規雇用が創出されるとともに、キング郡政府優先的雇用プログラムやサウスシアトルカレッジのジョージタウンキャンパスとのパートナーシップを通じて、同処理施設の設計、建設、運用などの業務遂行に必要となる知識を学ぶカリキュラムの提供や、作業員の訓練や実習プログラムも設立される。

米国では近年、水インフラの老朽化が問題視されており、トランプ大統領は老朽化したインフラの更新を掲げている。EPAは、全米における上下水道インフラの更新に7430億ドル(約811408億円)を上回る予算が必要であると試算している。WIFIAプログラムでは、2017年度及び2018年度連邦政府予算から合計9300万ドル(約101億5625万円)が拠出されるほか、インフラ更新に必要となる約160億ドル(約1兆7473億円)の財源を確保するために、他の公的及び民間財源も利用される。

EPAは、2017年に確保されたWIFIAプログラム予算を利用して、水インフラプロジェクトの実施に必要となる合計約20億ドル(約2184億円)を財政支援するために融資を行う。今回発表されたキング郡政府への融資もこれに含まれている。同庁はさらに、2018年総括予算歳出法(Consolidated Appropriations Act, 2018)の成立を受けて、2018年予算を財源とする融資の提供も進めている。EPAは2018年4月4日には、WIFIAプログラムの2018年予算に基づき、水インフラプロジェクトに対して110億ドル(約1兆2013億円)を財政支援するために、最大55億ドル(約6006億円)に上る融資が利用可能であると発表した。2018年予算が融資対象とされる水インフラプロジェクトには、老朽化したインフラの更新に加えて、飲用水に含有されている鉛や他の有害物質への曝露の低減など、公衆の健康保護が重視されているプロジェクトも含まれている。2018年に配分されるWIFIAプログラムの融資を希望する事業者は、2018年7月6日までにその旨を示した書簡(LOI:Letter of Interest)をEPAへ提出することが義務付けられている。

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