ベトナム、水質汚濁防止法の策定に向けた取り組みが提案される

ベトナムの環境・コミュニティ研究センター(CECR)は、2018年3月2日、「水質汚染とベトナムにおける水質汚濁防止法の制定の必要性」に関する研究報告書を発表した。本報告書は全4章から成る(第1章「水質汚染:状態、健康と経済に与える影響」、第2章「水質汚濁防止法に関する法的なシステムの弱点(不十分なところ)」、第3章「水質汚濁防止にあたる国際経験」、第4章「ベトナムにおける水質汚濁防止法の公布についての建議・提案」)。最大のポイントは、国会での法律作成プログラムに入れるための水質汚濁防止法の作成、そして、2018年には水質汚濁防止法を作成するための研究活動を行うことを提案している点である。

近年の水質汚染の現状に基づいて、本報告書は現行の法律システム下での汚染管理における不十分な点、困難について分析を行っている。最大の難点としては、水質汚濁防止が経済開発にとって重要で、かつ必要なものと認識されておらず、環境保護活動の中の小さな一部というように考えられてしまっていることである。そのため、廃水の排出、汚染源の管理はまだ十分に実施されていない。水質汚濁防止のための規定は多くの法令の中でばらばらに定められており(細分化)、また、行政システムでも複雑な横断関係を有しているため、その施行に関する評価は高くない。

現行の法的制度において水質汚染防止活動を実施することは困難に直面している。例えば、廃水処理技術はまだ貧弱な状況にある点や、廃水排出源が様々な当事者によって管理されている点がその理由である。水質汚染源の管理に関わる法制度と各種規定は、事業者側の視点を考慮せず、さらに、水環境、水生生物、植物といった保護が必要な対象についても考えられておらず、主に規制当局の視点から構築されているために管理が不十分となり、その効果には限界がある。

本報告書では、国際的な視点として米国、日本、韓国、中国、マレーシア、タイでの水質汚染管理についても分析が行われている。これらの国々は発展した工業化および都市化を過ごしてきており、極めて厳しい水質汚染事故に直面した経験を有する。これらの多くの国は水質汚濁に特化した法体系を持っており、水中生態系を保護すること、そして人間健康を確保することを最大の目的としている。

ベトナムの水質汚染は非常に急を要するものであり、汚染を改善するための包括的な戦略が必要であるという認識をもって、同報告書は第14回国会の法律作成プログラムに水質汚濁防止法の作成活動を入れるよう天然資源環境省に提案した。そのほかには、2018年から水質汚濁防止法の内容を研究し、作成すること、水質汚濁防止についての政策・規定についても研究・作成・改善を行うことが提案されている。

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