スペイン国立通信教育大学UNEDと、水に関する調査研究やサステナブルな経済社会開発をめざすAQUAE基金が推進する機関が2000~2014年の情報をもとに実施した調査によると、スペインの2000ヵ所の汚水処理場で処理された水の10.74%が再使用されており、欧州平均の2.4%を超えて欧州トップとなっていると、2019年2月18日に報道された。
同調査によると、処理された汚水の62%は農業で、20%が緑地の灌漑、7%が産業部門で使用されている。州別では、バレンシア州で59%、ムルシア州で50%、バレアレス州で45%の処理された汚水が、再使用されている。一方スペイン国内の水の消費量も減少しており、調査対象期間で企業では40%、家庭では一人当たり20%の水の消費が減っている。農業部門では2000年の消費量と2014年の消費量は殆ど変化がなく、節水努力が少ない結果となっている。
欧州連合環境庁EEAの報告書では、スペインの地表水の54.8%は自然環境保全の面で良好な状態に保たれており、欧州平均より14.8%高い数値となっている。地下水に関しては、量の面では81.5%が良好な状態となっているが、質の面では良好に保たれているのはわずか69.1%であり、特にデュエロ水域、グアディアナ水域、フカル水域及びアンダルシア岸の地中海水域の水質を良好に保つ努力が必要となっている。
スペインでは、2030年までに循環経済を実現する為に、2017年から生産や消費、廃棄物管理、再生資源、水の再使用を中心とする短期・中期行動計画が提案されている。AQUAE基金は、スペインにおける水の現状と最近の発展、循環経済に向けた改善余地の評価の為に、①水資源の効率的な分配、②輸送や処理、保管、流通を含む水の供給、③水の様々な使用者による利用、④汚水処理と再使用、⑤水の量と質の環境状況という、5つの指標を提案している。
なお欧州議会では2019年2月12日に、農業灌漑に使用する、処理された汚水の基準や要件の規定が採択されている。