ブラジル上院、上下水サービスの民営化を含む法案を承認

上下水サービスの民営化を含む法案No.326/2019が2019年6月21日にブラジルの上院で承認され、下院に提出された。法案は、国家水庁ANAが、上下水サービスの自由競争や、効率、経営の持続性を活性化する規則を規定する権限をもち、上下水サービスの完全普及とリーズナブルな料金を目指すものとなっている。また公共の上下水サービスの基本原則として、飲料水供給と汚水排除を同時に行う、競争力のある事業者の選択が挙げられている。

法案では、民間企業によるサービス提供はコンセッションによるものと定めており、プログラム合意書や合意書、提携契約といった不確実な契約は禁じられる。但し、発布時に締結されている契約の実施は保証される。政府機関と契約されたプログラムは、投資が確実に回収できるまで延長するか、コンセッションに変更することができる。

州の水事業会社が民営化されている場合は、コンセッション契約に変更され、州や市町村が直接サービスを提供する場合は、民間企業に対して未償却の投資分として補償金を支払わなければならない。また法案では、水道料金や徴税により経営が維持できるようにすることが保証されている。水道料金を支払わない使用者には罰金が課されるが、低所得世帯に対しては、可能な限り水道料金を無料にする補助金制度も想定されている

ブラジルでは約3500万人の住民が処理された水へのアクセス、また国民の半分に相当する約1億400万人が下水サービスへのアクセスがない。また下水の処理率は42%にとどまっているため、生活改善が困難で、社会や様々な部門の経済活動に害を与えている。この為民営化を可能とする規制の近代化は必要であると、法案を出した上院議員は述べている。

しかし民営化は、民間企業にとって魅力が少ない小規模市町村にとっては不利であり、投資の回収が容易に見込めない低所得の市町村では、水へのアクセスが減ってしまうのではないかという批判が、他の上院議員から出されている。

法案No.3261/2019は以下のサイトでダウンロード可能(ポルトガル語表記)。
https://legis.senado.leg.br/sdleg-getter/documento?dm=7961476&ts=1562281257631&disposition=inline

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