タイ天然資源環境省公害管理局(PCD)は、2019年7月11日、2016年に発生した工場排水による淡水大型エイ大量死事案に関する当局の処分について発表した。発表によると、PCD及び水産局は、1992年(仏暦2535年)国家環境保全推進法の第96条及び第97条に基づいてRatchaburi Ethanol Co., Ltd.を告訴、578万5996.5 バーツ(約2000万円)の費用及び損害賠償金を請求した。この費用及び損害賠償金の内訳は、PCDが実施した環境影響評価のために発生した実費が30万6440バーツ(約100万円)、及び水産局の大型淡水エイ、エビ、貝などの天然資源に対する損害賠償金が547万9556.5バーツ(約1900万円)となっており、ラーチャブリー地方裁判所に未決案件番号第ソーウォーポー.1/2562号として提訴されている。
ただし、裁判所が証人の訊問予定日を決める前に、裁判所が去る2019年7月2日に、2原告と被告との間による調停の機会を設けた。当日、原告側が訴えに基づき要求する責任に関する提案を出し、被告の代理人である弁護士がこれを受けて、会社の取締役会に諮ることになった。なお、裁判所は2019年 8月26日に2回目の調停を予定している。ここで合意に至らない場合は、裁判所が引き続き証人の訊問手続きを進めることになる。
工場排水による淡水大型エイ大量死事案
2016年10月1日から7日にかけて、サムットソンクラーム県のバーンコンティー郡及びアムパワー郡地域を中心とする、ラーチャブリー県及びサムットソンクラーム県のメークローン川で大型淡水エイ及びその他の水生動物が大量死した。PCD及び複数の関係機関による水質の検査・分析から、処理済みの最終蒸留廃液がRatchaburi Ethanol Co., Ltdが所有する工場からチャレープ運河に排出され、その後メークローン川に流れ込んだことが原因であると判明した。
1992年(仏暦2535年)国家環境保全推進法
本法は、以下のように規定している。
- 汚染源より、汚染物を遺漏または拡散させ、他人の生命、身体または健康に危害を及ぼす原因、あるいは他人または国家の財産を損傷させる原因となった場合、その汚染源の所有者または管理者は、その汚染物の遺漏または拡散が汚染源の所有者または管理者の意図によるのか怠慢によるのかに拘らず、その事に対し賠償金または損害額を支払う義務を有する(第96条)。
- 違法な行為または不行為により、官有または国家の公共財産である天然資源に危害、破壊、損害を与えた者は、その危害、破壊、損害を受けた天然資源の全価値に応じて、政府に対し損害額を支払う義務を有する(第97条)。
本件に関するPCDの発表は、以下URLより閲覧できる。
http://www.pcd.go.th/Public/News/GetNewsThai.cfm?task=lt2019&id=18968