ドイツで2020年6月24日、第10次排水令改正令が施行された。
https://www.bmu.de/fileadmin/Daten_BMU/Download_PDF/Glaeserne_Gesetze/19._Lp/abwv_zehnte_novelle/Entwurf/abwv_zehnte_novelle_bf.pdf
本政令は基本的にEU産業排出物指令2010/75/EU(IED)の一部を国内法化するとともに、以下の排水分野のBAT(利用可能な最高水準の技術)結論を国内実施するものである。
- 化学部門の廃水/排ガス共同処理・管理システムに関連するBAT結論(2016年5月30日の欧州委員会の実施決定(EU) 2016/902)
- 非鉄金属産業に関するBAT結論(2016年6月13日の欧州委員会の実施決定(EU) 2016/1032)
- 木材パネル生産分野に関連するBAT結論(2015年11月20日の欧州委員会の実施決定(EU) 2015/2119)
このうち、化学産業(附則22)に対する一般的な要求事項は次のとおりである。
(1) 廃水発生量と有害物質濃度を、以下の施策を講じることで可能な限り低く保たなければならない。
1.複数回にわたって水を利用し循環させること
2.真空発生や排気浄化の際、廃水の出ない方法を使用すること
3.母液を調製したりプロセスを最適化するなどして、物質を保持し回収すること
4.最終的な下水処理で十分に処理できない有害物質を含む廃水は、前処理を行うこと。特に、生分解性の低い、あるいは最終廃水処理で除去できない有機化合物、またはベンゼンや揮発性ハロゲン化有機化合物などの揮発性有害物質を含む廃水
(2) 処理を必要としない廃水は、処理を必要とする廃水と分けて排出すること。
(3) 計画外の運転条件が発生した場合に、制御されない排出を防ぐため、廃水の保持能力、及び保持された廃水の適切な再利用、処理、または廃棄のための対策を、リスクに見合った範囲で維持すること。排出者は、それに応じたリスク評価を実施しなければならない。
(4) 敷地内に複数の廃水発生事業場が存在する場合には、水法上の許認可所持者が、その他の廃水発生事業場の運営責任者とともに、適正な廃水処理に関する業務、責任、および相互関係を決定すること。
(5) 一般要求事項を遵守していることの証明は、企業の廃水登録簿にて行うこと。廃水登録簿には、次の情報を含める必要がある。
1.廃水を発生させる合成、手順、設備に関する情報
2.廃水中の有機有害物質濃度を生物学的に除去できる可能性に関するデータ
(6) 下水処理施設等は、臭気と騒音を回避できるよう設置し建設すること。