米カリフォルニア州政府、飲料水中のマイクロプラスチックの定義を発表

米カリフォルニア州環境保護局の水資源管理委員会(California State Water Resources Control Board)は2020年6月16日、飲料水中のマイクロプラスチック規制の一環として、飲料水中に含まれるマイクロプラスチックの公式な定義を採択したことを発表した。同委員会は現在、飲料水中のマイクロプラスチックのモニタリング方法の標準化に取り組んでおり、今回の定義の採択は、飲料水や環境中に含まれるマイクロプラスチックに関する理解を前進させることを狙いとしている。

最近、飲料中に含まれるマイクロプラスチックに関する懸念が増大しつつある。そのため、州水資源管理委員会は、同汚染物質を長期的に抑制するステップとして、飲料水中に含まれるマイクロプラスチックの定義を明確化した。今回採択された「飲料水中のマイクロプラスチック」の定義案を以下に示す。

「化学添加物やその他の物質が追加された可能性がある固形高分子材料(solid polymeric materials)で、1ナノメートル(nm)超、5000マイクロメートル(μm)(=5ミリメートル(mm))未満の面(dimension)を少なくとも3つ持つ粒子」

州水資源管理委員会によると、「5mm未満」は海の生物が誤飲する危険性があると長年指摘されてきたサイズである。マイクロプラスチックの多くはこの大きさよりもはるかに小さく、顕微鏡でしか観測することができない。マイクロプラスチックの定義は、連邦政府や他の州政府、海外諸国が既に決定しているものの、飲料水に含まれるマイクロプラスチックに着目して定義付けに取り組んだのは、カリフォルニア州が初めとなる。

州水資源管理委員会による今回の発表は、2018年に可決された州法(SB 1422)に基づいている。この法律は、飲料水中に含まれるマイクロプラスチックの定義を2020年7月1日までに決定することを同委員会へ義務付けていた。さらに同法は、2021年7月1日までに飲料水中のマイクロプラスチックの標準的な試験方法を確立することを同委員会に義務付けている。同試験方法は、飲料水中に含まれるマイクロプラスチックの試験を4年間実施し、その結果を、一般公開を含め、報告するよう求めるもの、とされている。また、同委員会は現在、飲料水、地表水、堆積物、魚類の細胞中に含まれたマイクロプラスチックをモニタリングする手法の標準化を、Ocean Protection Council及びSouthern California Coastal Water Research Programといった他の機関と共同で進めている。

今回の州水資源管理委員会の決定は賛否両論を招いている。米業界団体である米国化学工業協会(ACC)やPersonal Care Products Councilは、州政府による定義付けは曖昧であり、サステナビリティを追求した製品やサービスを開発促進する世界企業の取り組みやイノベーションを阻害するとして、反対の姿勢を見せている。一方、地域住民は飲料水に何が入っているかを把握する権利を有しており、州法では飲料中に含まれたマイクロプラスチックの測定や報告、公開が義務付けられているとして、今回の発表を支持する声も聞かれる。なお、州水資源管理委員会は、今後より多くの情報が明らかとなり、追加調査を実施した結果、今回発表された定義が見直される場合もあるとしている。

 

タグ「, 」の記事:

2020年7月9日
米EPA、飲料水中の過塩素酸塩を規制しない方針を最終決定
2020年5月9日
米カリフォルニア州政府、飲料水中の六価クロムの新汚染基準策定に向けたワークショップを開催
2020年4月14日
米EPA、プラスチック関連データ不足としてハワイ州不適合水域リストへの承認撤回
2020年3月24日
米EPA、飲料水中のPFOAとPFOSの規制を予備決定
2020年2月23日
米州水規制規制機関協会ADERASA、上下水法規に関する第12回イベロアメリカ・フォーラム開催