水圧破砕に使う水、得られるエネルギーあたりでは意外に少量――デューク大学の調査

デューク大学の最近の調査の結果*1非在来型燃料であるシェール・ガスやシェール・オイルを水圧破砕で採掘するのに使用された水の量は、全米で2005年から2014年までの10年間におよそ2500億ガロンで、これは全産業の水使用量の1%に満たないことが判明した。また、同じ10年間に水圧破砕で発生した廃水の量はおよそ2100億ガロンであることも分かった。

他のエネルギー生産との比較

非在来型のシェール・ガスやシェール・オイルを水圧破砕で採掘するには、在来型の石油・ガス井からの採掘よりもずっと多くの水を必要とする。しかし、他のエネルギー生産と比較すると、水圧破砕は長い目で見れば水集約度がむしろ低いことがわかる。生産されるエネルギーあたりの水消費量で比較すると、地下の石炭やウランの採掘、それに増進回収法(EOR)による石油採掘は、水圧破砕による石油・ガス採掘よりも2.5倍から13倍の水を使用している。

また、水圧破砕による石油採掘で発生する廃水の量が石油採掘量1バレルあたり約0.5バレルであるのに対し、在来型の陸地の油井では、石油採掘量1バレルあたり3バレルを超える廃水が発生する。

この調査結果について、デューク大学ニコラス環境スクールで地球化学と水質問題を専門とするAvner Vengosh教授はこう述べている。「水の使用と廃水の発生は、水圧破砕に関してよく言われている環境面での懸念のうちでも最もよく耳にする部類に属する。しかし、これまでは、いったいどれだけの水が実際に使われているのか、また、どれだけの廃水が発生しているのかについて、断片的で不完全な理解しか得られていなかった。今回のわれわれの調査は、政府や業界の複数の情報源から得たデータをまとめたもので、水圧破砕のウォーター・フットプリントの総量を、アメリカ全体について、また国内のおもなシェール・ガス田およびタイト・オイル田10ヵ所のそれぞれについて、初めて総合的に評価している

*1 Andrew Kondash and Avner Vengosh, 2015: Water Footprint of Hydraulic Fracturing, Environmental Science & Technology, doi:10.1021/acs.estlett.5b00211
http://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/acs.estlett.5b00211

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