2015年10月1日ペルー国会に、汚水処理プラント設置を国益及び優先事業とすることを宣言する法案No.4860/2015-CR*1が提出された。汚水処理プラントの新設と既存プラントの改修により、環境面、衛生面、社会面で必需な設備を増強し、水資源の責任ある使用を奨励することをうたった第1条と、政府は地方行政府と協力して、汚水処理プラントの建設と保守、増強を優先し、下水サービス国家監査庁は、それに必要な資金を確保する為、地方毎の料金設定の提案をすることをうたった第2条からなるもので、法案提案書には、以下の説明がなされている。
- ペルー環境監査局OEFAによれば、ペルーでは下水処理率(全国平均)は32%であり、68%の汚水は処理されずに河川に放流されて環境や住民の衛生にリスクを与えている(県別の汚水処理率は、下図参照)。また2011年には、アマゾナス県、アプリマック県、ウアンカベリカ県、ウアヌコ県、ロレト県、マドレ・デ・ディオス県、パスコ県、ウカヤリ県の8つの県で、汚水処理が全くされていない。
図 ペルー 県別の下水処理率
(出典:法案No.4860/2015-CR)
- 全国での上水道普及率は88.5%、下水道普及率は80.2%
- 環境省によれば、処理された汚水の半分しか再利用されていないが、処理水は土壌に必要な養分を保持しており、農業用として再利用されると、肥料の節約になる他、自然水使用に比べて生産量が20%増加するという研究結果が出されている。
- ペルーでは、処理された汚水の環境基準が規定されていないが、家庭排水や都市排水の処理における汚染物質最大許容値の設定作業が、環境省で進められている。