米の水道事業、インフラ老朽化等の諸問題に取り組む鍵は技術投資――WeiserMazarsの報告書

2015年10月8日、会計・税務・コンサルティングの大手LLP、WeiserMazarsが報告書“2015 U.S. Water Industry Outlook(2015年版アメリカ水ビジネス概観)*1”を公開した。この報告書での主要な調査結果のひとつとして、「アメリカの水道事業はいま、老朽化するインフラへの対策、運営コストの削減、および規制の遵守に全力で取り組んでおり、そうした取組にとって決定的に重要なのが技術への投資である」、と述べられている。この調査は、官民の水道事業者、水道事業への投資者とサプライヤー、および規制担当者らへのアンケートによっておこなわれたもので、技術革新が水道事業にとって大きな投資対象であり、かつ、競争に勝ち抜くためのいちばん強力な武器であるという点で、圧倒的多数の回答が一致した

この報告書はWeiserMazarsが2012年から2度にわたって出しており、3回目となる2015年版は、運営と資金調達という観点から水道事業の全体像を描くとともに、将来動向を予測している。この調査結果について、WeiserMazarsのWater and Utilities GroupのパートナーであるJerome Devillersはこう述べている。「水道事業者の技術への関心がますます顕著になっていることに加えて、今年の『概観』では、過去2回の調査で浮かび上がってきた課題――インフラの老朽化への対処と、それよりも深刻さの程度は落ちるが、規制遵守と人員配置の問題――があらためて確認された。プラス面の話としては、今回はインフラの資金確保が、財政事情の好転もあって以前よりも明るい見通しとなっていることを挙げた回答者が多かった」

今後重要となる技術

回答者の80%近くが、今後10年間の水道事業の競争力を左右するファクターとして技術を挙げた。エネルギー効率、スマート・メータリングとビジネス・インテリジェンス、それに資産管理プログラムが、業績を向上させるために特に重要であるとの指摘がなされた(下図)。これについて、WeiserMazarsのWater and Utilities GroupのパートナーであるRobert Wilsonはこう述べている。「スマート・メータリングとビジネス・インテリジェンスはあいかわらず水道事業者のあいだで関心が高い。また、資産管理プログラムは、環境面でのメリットがあり、エネルギー・コストを削減し、システムの重大な不具合の数を減らすものとして、水道事業全体に浸透してきた」

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図 「米国水道産業に最も大きな利益をもたらす技術分野は?」という質問への回答
(パーセンテージは、全回答者のうち、それぞれの技術を選んだ人の割合)
(出典2015 U.S. Water Industry Outlook)

*1 http://www.weisermazars.com/media/Water%20Industry%202015.pdf

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