ベトナム、2016年-2020年の上下水プロジェクトに100億ドルが必要に

2016年8月30日に現地で報じられたところによると、ベトナムでは2016-2020年に実施する上下水道プロジェクトに102億ドル(約14000億円)の投資を必要としているという。これは、2020年までに同国の都市部の浄水需要および下水処理量がそれぞれ960万m3、700万m3に達するとの見込みに基づいている。この予測は、水処理関連の展示会、VietWater 2016*1の告知会見で発表されたもの。

2020年までに都市部の人口は4400万人に、逼迫する上下水需要

ベトナムでは現在、795の市および都市部における浄水需要が計740万m3に上り、10年前の1.6倍となっているが、このうちの20%が無収水となっている。一方で、国内全土に存在する30カ所の下水処理場の処理能力は86万m3と需要のわずか12%しかカバー出来ていない。ベトナム建設省・技術インフラ局のNguyen Hong Tien局長は、同国の都市部の人口は2020年までに4400万人に達するとの予測を明らかにしており、これ基づき今回の上下水需要予測が算出された。こうした高まる上下水需要に応えるため同国では、浄水場の新規建設・改修に33USD(約3370億円)、さらに都市部向けの廃水処理場の新規建設に69USD(約7040億円)の投資が求められている。Tien局長によれば、同局は現在メコンデルタ地帯に処理能力30万m3/日の浄水場を建設し、ヘイリバー地域西部に浄水を提供するプロジェクトを検討しており、これに対し世界銀行が4億USD(408億円)の融資を約束しているという。

現在40カ所の廃水処理場を建設中

現状、ベトナムでは計40カ所(合計処理量:160万m3/日)の廃水処理場が建設中であり、2、3年以内に完成すると見られている。財務省では、天然資源環境省と協力の上、下水処理に関する環境保護負担金を定める政令案を提出する予定であるという。この負担金の額は、最大で上水道の価格の10%となる見込みである。ベトナム上下水道協会のCao Lai Quang会長は、年間2%の割合で進む都市化により同国では上下水道のニーズが切迫しているが、一方で、他国からのODAは減少しており、かといってODA以外に資金源を見付けることは難しいと話す。また同氏はあわせて同国の問題として水源の汚染を挙げ、具体的には干ばつや塩水の進入により家庭用水および農業用水の水質が低下していると指摘した。

なお、2009年に公布された首相決定第1929/QD-TTg号では、2025年までに都市部における上水道普及率を100%にすることが目標として掲げられている。また無収水については15%という目標となっている。

表:首相決定第1929/QD-TTg号での各目標値

項目 都市等級 2015年 2020年 2025年
上水道普及率(%) III以上 90 90 100
IV 70
V 50 70
無収水率(%) III以上 25 18 15
IV
V 30 25

*1 2016年11月9~11日にホーチミン7区で開催される同国最大級の水処理関係の展示会。38ヶ国から400社が出展を予定している。

タグ「, 」の記事:

2020年7月9日
米カリフォルニア州政府、飲料水中のマイクロプラスチックの定義を発表
2020年7月9日
米EPA、飲料水中の過塩素酸塩を規制しない方針を最終決定
2020年5月9日
米カリフォルニア州政府、飲料水中の六価クロムの新汚染基準策定に向けたワークショップを開催
2020年3月24日
米EPA、飲料水中のPFOAとPFOSの規制を予備決定
2020年2月23日
米州水規制規制機関協会ADERASA、上下水法規に関する第12回イベロアメリカ・フォーラム開催