中国江蘇省、「江蘇省太湖水汚染防止条例」を改正――流域保護区で禁止のプロジェクト新設などに除外項目を規定

中国江蘇省人民代表大会常務委員会は、2018年1月24日、新たに改正された「江蘇省太湖水汚染防止条例[1]」を公布した。同改正条例は、2018年5月1日より施行される。今回の改正のねらいは、太湖流域の環境保護を強化し、関連法規との統一を図り、産業の構造転換と高度化を促進することである。同条例によると、太湖流域には、蘇州市、無錫市、常州市、丹陽市のすべての行政区域などが含まれる。主な改正箇所は以下のとおり。

太湖流域での禁止行為に関する改正

  • 太湖流域の1級、2級、3級保護区で禁止されている「新設、改造、拡張プロジェクト」において、以下が適用除外項目として規定された。
    • 都市汚水集中処理などの環境インフラ・プロジェクト
  • 太湖流域の2級保護区で禁止されている「汚染物質排出口の増設」において、以下が適用除外項目として規定された。
    • 汚水集中処理施設の汚染物質排出口の新設、増設
  • 改正前の条例では、「化学パルプ製紙、製革、醸造、染料、捺染、電気メッキならびにその他のリン、窒素などの汚染物質を排出する企業およびプロジェクトの新設、改造、拡張」がすべて禁止されていたが、改正条例では禁止規定の適用を除外する状況について以下のように規定された。
    • 太湖流域の2級、3級保護区の工業集積エリアにおいて、以下の3種類のプロジェクトについては、下記の条件を満たした場合に限り、新設、改造、拡張が可能。
      1. ①戦略的新興産業(今後、関連部門により具体的な業種などを公布予定)の新設、改造、拡張プロジェクト
        • 新たに追加されるリン、窒素など重点水汚染物質の排出総量は、当地域における産業の置換、廃止、閉鎖などの方法により獲得した排出枠から取得するとともに、当該プロジェクトにより増加する年間排出総量の1倍以上に相当する排出量を削減すること。
        • 改造プロジェクトについては、リン、窒素など重点水汚染物質の年間排出総量を削減すること。
      2. ②捺染業の改造プロジェクト
        • 当該プロジェクトのリン、窒素など重点水汚染物質の年間排出総量枠の2倍に相当する排出量を削減すること。
      3. ③生産能力を増加させないという前提で、既存企業が環境保護基準向上のために実施する技術改造プロジェクト
        • リン、窒素など重点水汚染物質の年間排出総量の削減幅については、当該プロジェクトの既存年間排出総量の20%以上とすること。

また、改正条例では、国の産業政策や水環境総合対策要求に適合しない水汚染物質を排出する既存のプロジェクトに関しても、排出目標を達成できない場合には、法に基づき閉鎖が命じられるなどの罰則規定も追加されており、違法行為に対する処罰の強化も図られている。

[1] http://www.jsrd.gov.cn/zyfb/sjfg/201802/t20180205_490050.shtml

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