台湾工業技術研究院と台湾自来水公司、台湾の水処理産業チェーン構築と東南アジアの水市場開拓に関する基本合意書を締結

2018年4月25日、台湾工業技術研究院と台湾の水道事業者である台湾自来水公司は、台湾における水処理産業チェーンの構築、および東南アジアなどの水市場開拓に関する基本合意書(LOI)を締結した。

台湾では、毎年、約18億トンもの水が工業用水として使用されているが、そのリサイクル率は40~60%にとどまっているため、大きな商機が見込める。台湾工業技術研究院と台湾自来水公司による今回の提携により、水処理産業分野におけるソフトウェアとハードウェアの統合が促進される。両社は、それぞれの特長を生かして、AIot(AI[人工知能]+IoT[モノのインターネット])技術を活用した水質の警報や監視、漏水の診断や防止、水質改善など水の供給過程全体を網羅したソリューションを提供し、台湾での水処理産業チェーンを構築するとともに、水処理分野における未開拓分野にも進出していく計画である。

台湾の工業技術研究分野における先駆者である台湾工業技術研究院は、高い技術力を有するとともに、複数の特許も保有している。台湾自来水公司は、世界最長の給水配管(6万km超)を有し、給水者数は1800万人超、1日当たりの給水能力は1300万m3、最近5年間の水質合格率も平均99.94%に達する世界一流水準を誇る企業である。両社のさらなる提携により、台湾地域における水道事業関連産業は、今後大きな発展が見込まれる。

水の回収や再利用は、循環型経済において要といえる分野である。環境配慮型の経済モデルを目指す世界全体の流れとも一致しており、そこには大きな商機が潜んでいる。工業技術研究院と台湾自来水公司は、これまでの提携で培った経験や技術を元に、より一層整備された産業チェーンを台湾国内で構築するとともに、関連メーカーと力を合わせて、東南アジアなど「新南向政策[1]」対象国市場への進出も目指している。

ここ2年間にわたり、台湾自来水公司は、インドネシア、インド、ベトナムなどから行政機関や水道事業者の責任者を台湾に招き、浄水や水質・水量のリアルタイム監視システムなど自社の高い技術力をアピールしている。今回の合意締結以降、両社はさらに緊密に協力して、水処理技術の普及促進に関して意見交換などを行っていく計画である。今後、両社は、台湾の水処理産業における高度化を推進すると共に、「新南向政策」対象国や海外市場にも進出し、海外での自社技術導入を実現して、「Win-Win」(ウィン・ウィン)という目標の達成を目指す。

[1] 対象国と人材、資金、技術、文化、教育などの分野で双方向の交流を拡大し、戦略的パートナーシップを構築するという蔡政権が2016年5月の発足以後に打ち出した対外戦略。対象国はASEAN10ヶ国(タイ、インドネシア、シンガポール、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジア)、南アジア6ヶ国(インド、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、ネパール、ブータン)、オーストラリア、ニュージーランドの計18ヶ国。

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