インドTNPCB、繊維加工施設に対して蒸発器の導入を義務付ける命令を公布

インドのタミル・ナードゥ州汚染管理委員会(TNPCB:Tamil Nadu Pollution Control Board)は2018年7月30日、州内で操業する繊維加工施設に導入されている排水処理施設に対して、排水処理後に残留する塩の沈殿物の蒸発を促進する「かくはん型薄膜蒸発器(ATFEAgitated Thin Film Evaporator」の導入を指示する命令を公布した。

同州では現在、事業者自らが排水処理を行う個別排水処理施設(IETP:Individual Effluent Treatment Plant)や、排水処理施設の建設や運営は高額なコストを要するため共同で排水処理を行う共通排水処理施設(CETP:Common Effluent Treatment Plant)を設置することが、繊維加工施設(漂白、染色、印刷)に対して義務付けられている。繊維染色産業を対象とした排水処理施設では、ZLD(Zero Liquid Discharge)システムの一環として、染色加工にて使用される水と塩を再回収するため、合計20段階に上る濾過プロセスが実施されている。ZLDシステムは一般的に、逆浸透、ナノろ過、機械的真空再圧縮蒸発器/多重効用蒸発器、かくはん型薄膜乾燥器/太陽光蒸発装置といった様々なプロセスにて構成されている。

繊維染色業では、排水を処理し、異なる種類のスラッジ(石炭スラッジ、微生物スラッジ、混合塩スラッジ)を廃棄するために、様々な手法が実施されてきた。排水の主要成分を抽出し、これらのスラッジを全て廃棄した場合でも、汚染された塩の沈殿物が排水処理施設に残留するといった課題があった。TNPCBによると、塩の沈殿物を蒸発させるために太陽光蒸発器を排水処理施設へ導入しているものの、多くの場合で沈殿物は完全に蒸発しないという。これらの沈殿物は、排水処理施設のタンクを腐食させ、その後地表面に溶け出し、土壌汚染の原因となる。

現在合計18カ所に上るCETPにてATFEが導入されている一方、同装置を設置しているIETPは見られない。そのためTNPCBは、2019131日までにATFEを設置する猶予期間を事業者へ与えている

本命令の原文は以下よりダウンロード可能。
http://www.tnpcb.gov.in/pdf_2018/Bp31InstToMechanicalEvaporator30718.pdf

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