米国では現在、利用者が1万人を超える公共水道ユーティリティに、有機フッ素化合物(PFC)など、まだ規制の対象となっていない汚染物質が水道水中に含まれていないことを検査で確認することを法律で義務づけている。
だが、安全飲料水法の改正などを内容とする「2018年の米国水インフラ法(America’s Water Infrastructure Act of 2018)」が2018年10月23日に成立したことにより、この「1万人を超える」という基準が「3300人以上」に引き下げられ、その結果、全米で約5000の自治体水道ユーティリティが新たにPFC類等による水道水汚染の検査をしなければならないことになった。これは「2018年の米国水インフラ法」SEC. 2021にもとづくもので、この条項は、必要な検査のための費用として各会計年度に1500万ドル(約17億円)の歳出を承認している。この条項はまた、水質検査のためのじゅうぶんな検査機関を確保することができないと環境保護庁(EPA)が判断しないかぎり、3年後に発効する。
なお、「2018年の米国水インフラ法」のテキストは以下のURLで読むことができる(この記事の該当箇所はSEC. 2021)。
https://www.congress.gov/bill/115th-congress/senate-bill/3021/text?q=%7B%22search%22%3A%5B%22s3021%22%5D%7D&r=1
PFCについて:
有機フッ素化合物(PFC)には数千の種類があり、肝組織、免疫系、甲状腺などに悪影響をあたえたり、コレステロール値を変化させたりする場合がある。フッ素化合物は、泡消火剤の製造のほか、衣類、ファストフードの包装材、カーペットなどの消費者向け製品や産業向け製品のノンスティック・コーティングや防汚コーティングに使われている。
なお、PFCによる水質汚染の主な経路は下図の通りである。
図 PFCによる水質汚染
(出典:PFOS and PFC releases and associated pollution from a PFC production plant in Minnesota (USA)[1])
[1] https://www.researchgate.net/profile/Alan_Watson/publication/232916865_PFOS_and_PFC_releases_and_associated_pollution_from_a_PFC_production_plant_in_Minnesota_USA/links/004635284ca8161ee4000000/PFOS-and-PFC-releases-and-associated-pollution-from-a-PFC-production-plant-in-Minnesota-USA.pdf