トランプ大統領、水インフラ改善法案に署名

米ドナルド・トランプ大統領(Donald J. Trump)は2019年1月14日、水インフラ改善法案(Water Infrastructure Improvement Act)に署名し法制化された。同法案は、米環境保護庁(US Environmental Protection Agency:EPA)が策定した統合計画(Integrated Planning:IP)のアプローチを成文化(法制化)することで、水質浄化法(Clean Water Act:CWA)にて規定された要件を地方自治体が満たす上で、柔軟性をもたせることを目的としている。

EPAは過去、水質浄化法の要件遵守を通じて、公衆の健康と環境を保護するため、州政府や地方自治体と共同で、地域の水質浄化に取り組んでいる。しかし近年、人口増加、インフラ老朽化、財源不足、水質悪化といった様々な問題に直面しており、同法要件を遵守する上で新たなアプローチが必要とされている。水質浄化法にて規定された要件は、各地方自治体が個別に対応しているものの、これらの水問題の解決には最適な手法ではないとされている。そのため、EPAは現在、同法要件を満たす上で地方自治体が任意に提案を行うことができる統合計画(IP)の作成を認めている[1]。それにより優先度の高いプロジェクトに予算を優先的に配当するなど、水質改善と地域の持続性を向上させる包括的且つ持続可能な対策とされている。今回成立した水インフラ改善法では、これまで任意であった統合計画アプローチの導入を地方自治体に義務付けることで、地方自治体は水質浄化法の要件遵守に柔軟に対応することができる

米業界団体National Association of Clean Water Agencies(NACWA)は、今回の法案成立を称賛している。地方自治体の水担当部局は、統合計画の導入を通じて、水質浄化法の要件を達成するために限られた資金(税金)を効率的に活用し、公衆の健康や環境の保護をより強化することができるとしている。NACWAを始め、US Conference of Mayors、National League of Cities、National Association of Counties、Water Environment Federalなどを含めた複数の団体による積極的な取り組みが功を奏し、地方自治体が水質改善要件を達成する上で柔軟性を与えべきであるというEPAの認識を高めることができた。EPAは2012年に、地方自治体による雨水及び排水処理の改善を目指す「地方自治体の雨水・排水統合計画(Integrated Planning for Municipal Stormwater and Wastewater)」プログラムを設立した。同プログラムの設立以降、水処理団体は米国議会と共に、統合計画(IP)アプローチの法制化に向けて取り組んできた。

同法案の成立に向けて、下院輸送インフラ委員会(House Transportation and Infrastructure Committee)の委員長を務めるBill Shuster下院議員(共和党、ペンシルバニア州選出)及び副委員長のPeter DeFazio下院議員(民主党、オレゴン州選出)、上院環境公共事業委員会(Senate Environment and Public Works Committee)委員長John Barrasso上院議員(共和党、ワイオミング州選出)及び副委員長Tome Carper上院議員(民主党、デラウエア州選出)といった超党派のメンバーが積極的に働きかけた。

NACWA理事長(CEO)を務めるAdam Krantz氏は、「公共水道事業者や地方自治体は水質改善やコスト増大などの課題に直面しつつあり、水質浄化法への統合計画(IP)アプローチの成文化は、地方自治体が同法要件を遵守する上で、優先順位付けを体系的に行うことを支援する。水インフラ改善法の成立は、全米における大規模及び中小規模の水供給事業者の勝利であり、より安全で信頼性の高い水道水を低廉な価格で地域住民に供給できる」と述べた。

[1] https://www.epa.gov/npdes/integrated-planning-municipal-stormwater-and-wastewater

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