米ミシガン州に拠点を構える基準策定・認定団体NSF Internationalは2019年5月下旬、PFASの主な汚染物質であるPFOA及びPFOSの削減を目的としたNSF/ANSI 53及びNSF/ANSI 58といった2種類の業界基準の要件を更新した。前者は一般家庭の飲料水処理装置に関する基準、後者は逆浸透法(RO)システムを対象とした基準であり、これらの基準に規定された試験方法と装置の認定に関する要件が改訂された。
NSF Internationalは、自動車、航空、上水・廃水、医療などの多様な分野において、公共の健康保護や改善を目的とした民間任意基準の策定に従事している。また、製品安全性の認定やラボ試験、監査・検査などの業務に携わっており、75年に亘る実績を有している。業界関係者、規制当局、消費者などの様々なステイクホルダーからのコンセンサスに基づき基準策定を主業務とする米国規格協会(ANSI:American National Standards Institute)の指針に基づき、NSF Internationalは、NSF/ANSI 53「飲料水処理装置‐健康への影響(Drinking Water Treatment Units-Health Effects)」、及びNSF/ANSI 58「逆浸透飲料水処理システム(Reverse Osmosis Drinking Water Treatment Systems)」といった業界基準を策定、更新している。これらの基準は、米環境保護庁(EPA:Environment Protection Agency)が健康勧告値として設定したPFOAやPFOSの含有量を70 ppt未満へ低減することを目的としている。関連装置を製造する上で同基準を遵守するためには、NSF/NASI 53またはNSF/NASI 58にて規定された材質的・物理的な要件を満たす必要がある。
PFOA及びPFOS の削減を目的とした性能要件はこれまで、NSF P473「飲料水処理装置・PFOS及びPFOA(Drinking Water Treatment Units- PFOS & PFOA)」のプロトコルにて規定されていた。そのため、NSF Internationalは現時点で、同プロトコルに基づき、製造業者10社が生産した76種類に上る製品を認定している。
NSF Internationalの基準策定部門ディレクターを務めるJessica Evans氏は、「多くの地域コミュニティがPFAS化学物質による飲料水源の汚染被害を受けている中、今回の基準改正は非常にタイムリーな動きである。PFOSやPFOAに加えて、NSF/ANSI 53及びNSF/ANSI 58を監督する共同委員会は、他のPFAS化学物質の削減に向けた要件の策定を近々検討開始する予定である」と述べた。