シンガポール、38社が排水違反のかどで処罰される

シンガポール公共事業庁(PUB)は2019年6月10日、過去1年間(2018年6月から2019年5月)に排水基準に違反する事業排水を下水道に放出した事業所が38社あり、処罰されたと発表した。これらの事業者に課された罰金は、合計で25万3700SGD(約2030万円)に上るという。これらの違反は、PUBによる事業所および下水道の検査により発覚したものであり、具体的には基準を超える金属や化学物質、より深刻な例では有害物質や揮発性有機化合物(VOC)を含む排水が公共の下水道に放出されていた。

​​​ 処罰された38社のうち、18社が再犯であり、より厳しい処罰の対象となった。以下に罰金が高額となった悪質な事案を示す。

Breadtalk社
(パン・食品製造業)
基準を超える規制化学物質を含む排水を排出し、2016年6月および2017年4月にも摘発されている。罰金の総額は1万6300 SGD(約130万円)に上っている。
Tat Seng Packaging Group社
(印刷・包装業)
基準を超える規制化学物質および金属を含む排水を排出し、2016年6月、2017年12月、2018年3月にも摘発されている。罰金総額は1万4100 SGD(約113万円)。
NSL Oilchem Logistics社
(認可有害廃棄物収集業者)
2017年1月から2017年5月にかけて、硫酸塩と亜鉛を含む高濃度の排水を排出。特に、亜鉛濃度は許容限度を約68倍超える大幅な違反。罰金は1万2200 SGD(約97万円)。
Metal Treatment Technology社
(電気めっき業)
禁止VOCである塩化メチレンを含む排水を2016年11月、2017年2月、および2017年5月の3回に分けて公共下水道に排出。特に初回は非常に高い濃度であった。罰金は1万1300 SGD(約90万円)。
KMS Industrial社
(機械業)
2016年11月、高濃度の禁止VOC(トルエン、エチルベンゼン、キシレン)を含む事業排水を排出。その濃度は火災を引き起こし、Kranji水処理場に被害が出る可能性がある水準であった。罰金は1万500 SGD(約84万円)。

​PUBは商業施設および工業施設の排水調査を定期的に実施しており、悪質な事業所はブラックリストに掲載し、より頻繁な検査を行う他、状況によっては厳しい措置(即時の営業停止、下水道への事業排水の放出許可の停止または取消など)も辞さないとしている。​​​下水道排水法の下では、危険物質または有害物質を含む事業廃水の公共下水道への不法投棄は、初版の場合最高5万ドル(約400万円)、再犯の場合は最高10万SGD(約800万円)の罰金が規定されている。

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