米環境保護庁(EPA)は2019年9月10日、カリフォルニア州サンディエゴでひらかれた第34回水再利用年次シンポジウムにおいて、水資源の有効利用を促進する「国家水再利用アクション・プラン案[1]」を公表し、同年12月16日までの意見募集を開始した。このアクション・プラン案は、国家規模の水再利用をめざす取組としては初めてのもので、水関連のステークホルダーらも参画して策定された。
このアクション・プラン案が策定された背景には、将来予想される水不足がある。EPAのDavid Ross上下水道・水環境局長はシンポジウムで、「40の州が向こう10年のあいだに州内のどこかで淡水の不足を経験すると予想している」と述べた。EPAは、水再利用をコミュニティおよび経済を支える大きな要因であると捉え、そのために優先的にとるべき行動とリーダーシップ、また、そうした行動を実行に移すための連邦政府と州等の各レベルの政府や非政府組織等との協力のあり方などをアクション・プラン案に盛り込んでいる。
水再利用の検討と実施を支援するためのアクション
アクション・プラン案は、水再利用の検討と実施を支援するための46のアクションを、以下の10のカテゴリーに分けて提示している。
- 水域全体規模での総合的かつ協力的なアクションによる水再利用の検討を可能にすること
- 連邦、州、先住民部族等の水再利用プログラムと政策を調和させ、統合化すること
- 目的ごとの水質仕様を精密に定めること
- 技術の開発、実地展開、および有効性評価を進めること
- 水に関する情報を入手しやすくすること
- 水再利用の資金的裏付けが得やすいようにすること
- 水再利用に関する研究を統合・コーディネートすること
- 水再利用に関するアウトリーチとコミュニケーションを改善すること
- 優秀で活力に富む実行部隊をサポートすること
- 水再利用の目標を明確にし、進捗度を測るための尺度を定めること
[1] https://www.epa.gov/sites/production/files/2019-09/documents/water-reuse-action-plan-draft-2019.pdf