2019年10月2日に、マレーシア国家上下水道委員会(SPAN)は水の再利用に対して税制インセンティブを検討していることを明らかにした。SPANのCharles Santiago委員長は同日、「2015年にクアラルンプール首都圏を対象にUiTMが行った調査では、クアラルンプール首都圏における雨水収集システムの受入れ率は高いものの、住民らはそのシステムの設置に最大でも500マレーシアリンギット(約1万3000円)しか支払う気がないことがわかりました」と述べた。Santiago委員長は続けて、政府は企業と家庭に対し、水を再利用するための設備および雨水収集システムに税制上のインセンティブを与える可能性があると明らかにした。委員長は「マレーシア政府は、人々にこうしたシステムの導入を後押しするべく、インセンティブまたは税の減免を用意しなければなりません」と述べ、プタリン・ジャヤ特別市議会がグリーンビルディングの所有者に対し年間500マレーシアリンギット(約1万3000円)の還付を与えた事例を引き合いに出した。また彼は経済省および財務省は節水ポリシーの策定に着手するべきだと強調した上で、水資源の保全の責任は全てのステークホルダーが分かち合うべきだと述べた。
同日開催されたマレーシア国際水会議に登壇したSantiago委員長は次のように述べた。「今後5年以内に、我々はインドと同様、工場に再生水しか使用できないようにする法律を制定する必要があります。再生水は自らの工場廃水をリサイクルしても、廃水処理施設業者を利用してもかまいません。我々はIndah Water Konsortium(下水道管理会社)に対し、下水を飲用以外の目的でリサイクルするよう推奨します。長期的には、我々は飲用水システムおよび非飲用水システムの2つの給水システムを必要とします。」
彼は多くの機関が関係していることで水質汚染の問題に連携して取り組むことが困難になっているとして、「国立河川保護庁」の設立を提案した。Santiago委員長は、マイクロプラスチック、 医薬品、パーソナルケア製品がマレーシアの河川に新たな脅威となっていると述べた。「プトラジャヤでのケーススタディから、供給される飲料水に含まれる最も一般的な医薬品化合物が、マレーシア人がよく利用する医薬品、コーヒー、そしてプラスチックに由来することが示されました。この問題に対処しなければ、我が国の公衆衛生にとって大きな脅威になります。」
彼はまた、特にジョホールのような水ストレス状態にある州について、集水域が国の重要な水源であるとして、集水域を官報告示するよう促した。「これらのエリアは、進入を防止するため、国家森林局によって保護されます。しかし、ジョホール州、ペラ州、ペナン州においては、集水域を5万6000ヘクタールしか官報告示していません。」