インドのTata、農村向けに1500円の家庭用浄水器を発表

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インド最大の財閥であるTata Groupは2009年12月7日、低価格家庭用浄水器の新製品を発表した。Tata Swach――Swachはヒンディー語で「きれいな」の意――と名づけられたこの新製品は、電気や水道の通っていない農村部向けにつくられたもので、数百万人に安全な飲み水を提供し、細菌性の疾病による被害を低減させることが期待されている。

この浄水器は精米の過程で生じる残滓の灰をフィルターとして使い、細菌を除去する。また、銀の微小粒子を使用して、下痢、コレラ、腸チフスなどの原因となる有害な微生物を殺す。エネルギーや流水を必要とせずに、重力によって水を浄化でき、またサイズが小さく、持ち運び可能である点も、この製品の優れた点である。価格は、749ルピー(約1500円)と999ルピー(約2000円)の2タイプがあり、交換カートリッジの価格は299ルピー(約600円)となっている。1つのカートリッジで浄化できる水の量は、約3000リットである。

この浄水器について、Tata Groupの執行役員とTata Chemicalsの副会長を兼務するGopalakrishnanはこう述べている。「Swachは、消費者と一般国民に安全な飲み水を得る権利を提供するための全国的取組の第1歩だ。この権利は、政府もその実現を追及してきたが、これまであまり成功したとはいえない」

国連によれば、世界中で6人に1人以上――8億9400万人――が、日常生活に必要なきれいな水を得ることができず、そのため、多くの健康被害が出ている。なかでも病気や死のいちばんの原因になっているのは下痢で、これは特に子どもに多い。

下痢による死の90%近くが、衛生設備の欠如や安全でない飲み水などが原因となっている。インドでは、農村部の人口の75%が安全な飲み水を得ることのできない状況におかれている。

2009年3月に発表された「国連世界水開発報告書」は、水の供給、下水道などの衛生設備、および水資源の管理を改善すれば、世界中で病気にともなう負担をおよそ10%減らすことができるとしている。

Tataが今回発表した浄水器は、2004年12月のスマトラ沖地震津波の被災地に供給した比較的大型のモデルをベースに、3年をかけて開発したもので、インドの人口の85%にあたる水を濾過しないで使用しているひとびとをターゲットにしている。

Tata ChemicalsのR. Mukundan取締役によれば、この浄水器は容量が9.5リットルで、1回のカートリッジ交換で3000リットルの水を濾過することができ、これで平均的な5人家族の場合200日間の水をまかなえることになる。

インド市場にはこのほかにも、Hindustan Unileverの電池駆動式Pureitモデルなど、低価格浄水器がすでにいくつか出回っている。Pureitモデルは、容量が4.5リットルで1回のカートリッジ交換で1500リットルの水を濾過することができる。

ハイエンドのHimalayanブランドのミネラル・ウォーターも販売しているTataだが、この低価格浄水器プロジェクトにはすでに10億ルピー(約20億円)を投じ、向こう5年間で300万台の販売をめざしている。

Mukundan取締役によれば、この浄水器はアメリカ環境保護庁(EPA)の厳しい基準を満たしており、微生物、濁り、および臭いを除去することができ、これまで4つの州の農村部の600世帯で試用されてきた。

同取締役はまた、これをいずれはサハラ以南のアフリカでも売りたいとしつつ、「当面は潜在規模のきわめて大きなインド市場に取り組みたい」と述べている。

Tataの低価格浄水器発売について、イギリスの国際慈善団体WaterAidでインド・プログラムを統括するShipra Saxenaは歓迎の意を表明し、本来は政府がするサービスをなぜ民間企業が提供するのかという問いに対して、つぎのように答えている。「すべてのプレーヤーに何らかの役割がある。だからこそ、官民協力の重要性の認識が高まってきたのだ。政府はかなりのことをしているが、そのスケールが問題になっている。そこに、民間のプレーヤーが協力できる余地がある」

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