コカ・コーラ社の工場が引き起こした地下水の過剰採取等の環境汚染により、44.5億円の損害――Kerala州政府は責任追及へ

インドのKerala州政府が組織した委員会は、2010年3月22日、“Hindustan Coca Cola Beverages社が同州Plachimadaに所有するボトル製造工場が、環境に重大な損害をもたらし、その被害額は21億6260万ルピー(約44億5千万円)に上る”との報告書を州議会に提出した。同報告書は、被害を受けた住民への賠償金の支払いはCoca Colaの義務であると結論づけている。

同委員会は、また、被害を受けた住民が個人で同社と裁判を闘うことは困難であるため、住民救済のために裁定委員会を設立することを提案している。これに対し、Coca Colaは、「わが社が損害を引き起こしたとの証明されていない仮説に基づき、委員会が組織されたことは、遺憾である。州政府などによっていくつもの調査が実施されており、それらの科学的評価に基づけば、わが社の工場は問題の原因とは断定されていない」とコメントし、責任を否定している。問題の工場では、周辺の地域住民による抗議活動がかねてから起こっていた。同工場は、中央地下水委員会の調査を受けた後、2004年3月から操業を停止している。

上述の委員会報告書によると、Hindustan Coca Cola Beverages社は、取水制限量を超えて地下水を取水するとともに、固形廃棄物の投棄によって農場および環境を汚染したという。同工場では、50万ℓ/day以上の地下水が取水されていたと推定されている。

また同報告書は、1999年から2004年の間における被害額を、農業被害額8億4160万ルピー、水資源の汚染による被害額6億2100万ルピー、水供給コスト2億ルピー、健康被害3億ルピー、賃金および機会の損失コスト2億ルピーと試算している。さらに、同委員会は、同工場が水質汚染(防止および管理)法や環境保護法、工場法、有害廃棄物(管理および取り扱い)規則、Kerala州地下水(管理および規制)法など、多くの法律に違反していたことも確認している。

州政府のPremachandran水資源大臣によると、同報告書は州政府内閣に提出され、適切な措置を講じるために議論されるとのことである。

同州では、同じくソフトドリンクを製造しているPepsiの工場による地下水採取も問題となっており、州議会の委員会は、2010年3月18日、取水量を現在の70万ℓ/dayから23万4000ℓ/dayへと減少させるようPepsiに勧告している。
※ 1ルピー≒約2.05円(2010年3月現在)