スエズ子会社United Water、ニュージャージー州ベイヨンの上下水道管理業務を受託

スエズ・エンバイロメントは2012年12月20日、プライベート・エクイティファームKKRと米国ニュージャージー州ベイヨン(Bayonne)の上下水道を運営するための合弁会社を設立した。スエズの子会社であるUnited WaterとKKRは1億5000万ドル(うち、KKRが90%を出資)を出資し、水道料金や廃水処理からの料金徴収を含む40年間にわたるコンセッション契約を締結した。また、合弁会社は同期間中に1億5700万ドルを追加で負担し、設備の維持・更新をしていく。

老朽化が進行する水インフラ

非営利のシンクタンクAmerican Water Works Association(AWWA)によると、米国における水道インフラの補修費用は今後25年間で1兆ドルに及び、その費用はまず水道料金への上乗せや、自治体の負担として計上されるという。また、2007年の米環境保護庁(EPA)による試算によると、米国は今後20年間に廃水処理整備の更新や補修にかかる費用として3900億ドルを投資しなければならない。しかし、主に公共部門によって運営されている米国の水セクターは資金難にあえいでいる。また、約5万2000の断片化されたシステムから構成で管理されており、その半数以上は給水人口500以下の小規模なものである。

プライベート・エクイティを活用

今回のベイヨンにおけるコンセッション契約は、資金力の無い自治体を救済するモデルとなる可能性がある。通常、水道を民営化することは、政治的な反発を受け、また、地方の役人にとっては金銭的な融通を受けられる必要不可欠なインフラを手放すことをためらう。しかし、KKRのエネルギー・インフラチームを率いるBrandon Freiman氏によると、この形態の契約はすべての関係者にとってWin-Winであり、このようなやり方がもっと普及してもよいという。今回の契約によってベイヨンはKKRとUnited Waterからの資金を1億1300万ドルを超える自治体の負債の返済に充てることができる。いっぽう、このようなインフラへの投資は通常10%をやや超す程度の内部収益率(IRR)であり、企業の売却におけるそれよりも投資効果は低いものの、リスク管理の面においてずっと安全であるという利点がある。

現在、United Waterはニューヨーク州ロングアイランドのナッソー(Nassau)郡で同様の上下水道コンセッションの交渉を進めている。また、2013年1月13日には、ヴェオリア・ウォーターがプライベート・エクイティファームTable Rock Capitalと共にカリフォルニア州リアルト(Rialto)市の上下水道管理業務を受託している。

タグ「, 」の記事:

2020年7月9日
米カリフォルニア州政府、飲料水中のマイクロプラスチックの定義を発表
2020年7月9日
米EPA、飲料水中の過塩素酸塩を規制しない方針を最終決定
2020年5月9日
米カリフォルニア州政府、飲料水中の六価クロムの新汚染基準策定に向けたワークショップを開催
2020年3月24日
米EPA、飲料水中のPFOAとPFOSの規制を予備決定
2020年2月23日
米州水規制規制機関協会ADERASA、上下水法規に関する第12回イベロアメリカ・フォーラム開催