中国自然資源部、「2017年全国海水利用報告」を発表――海水利用業の持続的な発展や関連標準体系の整備状況について報告

中国自然資源部は、2018年12月24日、「2017年全国海水利用報告[1]」を発表した。以下は、同報告の主な内容である。

2017年、中国における海水利用業は、全体として持続的な発展を遂げた。2017年5月4日、国家発展改革委員会と国家海洋局が公布した「全国海洋経済発展『第13次5カ年計画』」では、重点的に育成する海洋新興産業として、海水利用業、海洋装備製造業、海洋薬物および生物学的製剤製造業、海洋再生可能エネルギー業が挙げられた。さらに、2017年12月5日には、同じく国家発展改革委員会と国家海洋局により、「島嶼海水淡水化プロジェクト実施計画」が発表され、島嶼での海水淡水化の普及促進が図られた。2017年末時点で、全国136箇所の海水淡水化プラントが建設済みの状態にあり、全体における1日当たりの淡水化量は、2016年比で1040トンの増加となる118万9105トンに達した。2017年には、合計1344億8500万トンの海水が冷却水として使用された。2016年と比較すると、海水利用量は143億4900万トンの増加となる。


図 海水淡水化量の推移
(出典:2017年全国海水利用報告)


図 冷却水として使用される海水量の推移
(出典:2017年全国海水利用報告)

沿海地域では、海水利用における科学技術のイノベーションや研究成果の実用化が進められており、新たな発展モデルの模索が行われている。また、国の重点研究開発特別プロジェクトや海洋経済革新的発展モデルプロジェクトなども相次いで立ち上げられている。自然資源部の天津臨港海水淡水化および総合利用モデル基地の第1期パイロット試験区の本体工事が着工し、国家海水利用プロジェクト技術研究センターが海南省・海口市に設立された。海水利用業については、年間の増加値(付加価値額)が14億元に達し、前年比で3.6%増となった。海水利用の関連標準体系も整備が進められており、2017年には計20本の標準が公布された。その内訳は、国家標準16本、業界標準3本、地方標準1本となる。

 

関連標準の動向

2017年末時点で、公布および施行済みの海水利用関連標準は、国家標準39本、業界標準93本、地方標準2本を含む計134本。上述したように、2017年には計20本の標準が公布された。そのうち主な標準は、以下のとおりである。

  • GB/T 33896-2017「メンブレンハウジング周期的圧力試験方法」
  • GB/T 33898-2017「膜分離活性汚泥法共通技術規範」
  • GB/T 34241-2017「ロール状ポリアミド複合逆浸透膜エレメント」
  • GB/T 34242-2017「ナノろ過膜試験方法」
  • GB/T 33584「海水冷却水質要求および分析・検査・測定方法」標準系列
  • GB/T 34550「海水冷却水処理薬剤の性能評価方法」標準系列
  • HY/T 061-2017「中空糸精密濾過膜エレメント」
  • HY/T107-2017「ロール状逆浸透エレメント試験方法」(代替標準HY/T 107-2008)
  • HY/T 220-2017「海水淡水化水源地保護区区分技術規範」
  • DB3702/FW WJW02-2017「海水淡水化生活飲用水の集中式給水事業者衛生管理規範」など。

海洋業界標準の「海水淡水化製品水の水質要求」は意見募集段階に入っており、国家標準の「逆浸透膜法製品水質要求」については、プロジェクトの立ち上げが承認されている。

全国海洋標準化技術委員会の海水淡水化および総合利用技術分科委員会(TC283/SC7)は、2017年度の海水利用海洋業界標準プロジェクト認可審査会議を天津市で開催した。同会議では、以下の5本の海洋業界標準が技術審査を通過した。

  • 「低温多重効用海水淡水化におけるスケール防止剤のスケール防止性能の測定 硫酸カルシウム沈殿法」
  • 「ポリテトラフルオロエチレン中空糸精密濾過膜」
  • 「ディスクチューブ型逆浸透膜」
  • 「ディスクチューブ型逆浸透膜モジュール」
  • 「中空糸ナノ濾過膜モジュール」

[1] 原文は下記URLよりダウンロード可能。
http://gi.mnr.gov.cn/201812/P020181224553272191864.pdf

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