世界資源研究所、グローバルサウスの都市の水ストレスは従来の理解以上と報告

2019年8月13日、世界資源研究所(WRI)は、従来の世界保健機関(WHO)などの調査に反して、グローバルサウスでは都市の大きな割合の人々が安全で、安定して、手ごろな価格で水を利用できないでいるという報告書[1]を発行した。グローバルサウス[2]の15の都市のデータを分析した本報告書によると、平均でほぼ半数の家庭、約5000万人が水道の水を利用できない。最も利用率が低い南サハラでは、22%の家庭しか水道の水が利用できない。利用できている家庭でも、12都市中、9都市では断続的にしか利用できなくて、水質が犠牲にされている。水道が利用できなくて民間から水を購入している場合、水の料金は家庭の月収の25%に上る場合もある。そして、2030年までに人口300万人以上の45の都市が強い水ストレスに直面する可能性がある。

 

過去の調査は都市の水危機を過小評価

「ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals)」や「持続可能開発目標(Sustainable Development Goals)」に使用されている世界的指標では、水の入手可能性、安定性もしくは、水の品質が考慮されていないため、都市部の水危機は過少評価されている。UNICEFとWHOの2015年の調査では、世界の90%以上の人が「改善された」飲用水資源を利用しているとしていた。しかし、「改善された」の定義には広範囲な飲用水資源を含むため、現在の急激な都市の成長の中の個人や家庭の現実を反映できていない。当局は、水の供給網を拡大する努力は払っているが、入手可能な価格に関してはほとんど注意を払っていない。

 

都市への提言

報告書によると、この数十年間で民間部門の水供給における役割は増加しているが、特に水の供給が不十分な都市において水へのアクセスを適切に改善していない。都市(自治体)は、平等な水へのアクセスをどう見るか再考しなければならない。本報告書は、水の供給が不十分な都市(自治体)が水へのアクセスを改善するために以下のことを提案している。

  1. 都市(自治体)の水供給パイプをすべての家庭もしくは小区画へ拡張する。
  2. 断続的な水供給の問題に取り組む。正確で信頼性の高い水使用量メータ、インフラの保守管理の改善、十分な資金源へのアクセス、より洗練された水計画と管理により、一定した水圧を維持することに役立つ。
  3. 水をより入手しやすくするため、様々な戦略を導入する。例えば、低所得世帯に対し水補助金、最低限の水を各世帯に供給する無料の基本的な水のための政策。
  4. 都市(自治体)全体の、参加型の、現場での非公式居住地の改善。非公式の居住地を排除するのではなく、改善することが他のどの方法よりより多くの家庭の水へのアクセスを良くする。

急激な都市化、気候変動による水不足の悪化および、水インフラへの投資不足により、こういった問題は今後ますます拡大するであろう。今、都市(自治体)はこういった問題に取り組む行動を起こさなければならない。

[1] Unaffordable and Undrinkable: Rethinking Urban Water Access in the Global South
https://wriorg.s3.amazonaws.com/s3fs-public/unaffordable-and-undrinkable.pdf

[2] 低~中程度の経済力しか持たないアジア、アフリカ、ラテンアメリカおよびカリブ海地方。必ずしも南半球の国々のみを指すものではない。