米EPA、水質浄化法section 311にもとづく新たな規制は当面おこなわないことを決定

米環境保護庁(EPA)は、かねてから懸案になっていた水質浄化法section 311にもとづく有害物質の流出規制の強化について、当面は新たな要求事項を設けることはしないとの最終決定を2019年9月3日付の官報で公示した。この最終決定は同年10月3日に発効する。

 

水質浄化法section 311について

水質浄化法のsection 311は、石油その他の有害物質の水域への流出を規制している。この条項はまた、大統領に対し、船舶ならびに陸上施設および海上施設からの石油その他の有害物質の流出を防止する設備、および流出物を封じ込める設備に関する手順、方法、その他の必要事項を定めることを命じている。

 

最終決定までの経緯

2015年7月21日、水質浄化法section 311にもとづく有害物質の流出防止および流出物の封じ込めの規制を怠ったかどで、EPAを相手取った訴訟が提起された。この訴訟で、ニューヨーク州南部連邦地方裁判所は2016年2月16日、原告とEPAとのあいだの同意にもとづく判決をくだした。この同意判決は、有害物質流出規制に関する規則制定案の公告と、公告および意見聴取を経た最終決定をEPAに求めている。

これをうけてEPAは、一般からの意見募集をおこない、その結果と、これまでに報告されている有害物質流出の頻度と影響、それに現行のEPAの規制上の要求事項の枠組とを勘案して、当面は水質浄化法section 311にもとづく流出防止および封じ込めの新たな要求事項を設けないことを決定した。

なお、EPAがこの最終決定を公示した官報記事は以下のURLで読むことができる。
https://www.govinfo.gov/content/pkg/FR-2019-09-03/pdf/2019-18706.pdf