RCAP、農村地域を対象とした医薬品の摂取過剰の解決と水質改善を目的としたパイロットプログラムを実施

廃棄物処理ベンダであるStericycleは2020年1月15日、水質改善に焦点を置いた非営利団体RCAP(Rural Community Assistance Partnership)とのパートナーシップを通じて、米国の農村地域にて深刻化する医薬品の過剰摂取を巡る問題解決と水質改善を焦点としたパイロットプログラムを実施すると発表した。

RCAPは2020年初頭に、全米における複数の農村コミュニティを対象に、合計1万台に上るStericycle製医療用キット「Seal&Send」を配布する。同キットは密閉用封筒であり、未使用の医薬品や規制対象にある医薬廃棄物を同封、郵送することで、これらの物質を回収する。住民による未使用の医薬品の摂取を防止するとともに、医薬廃棄物の焼却処分を減らすことで、地域の水域や水資源、ごみ処理場といった環境への汚染を防ぐことを目的としている。

業界初の試みとなる今回のパイロットプログラムは、医薬品を安全に廃棄する概念を、農村地域の住民に対して啓蒙することも目的としている。RCAPは、6箇所に上る地域パートナーと共同で、Stericycle医療用キットを一般家庭へ配布する。水道料金請求書に同封、またはこれら地域と調整して展開する固形廃棄物プログラムの一環として医療用キットを郵送する。郵送の際に、医薬品の安全廃棄に関する情報も盛り込み、消費者の啓蒙を促す。RCAPの地域パートナーは全米50州及び米国領土のプエルトリコと米バージン諸島を拠点としている。そのため、今回のパイロットプログラムを通じて、他地域への導入拡大の実現性も検証する。今回のパイロットプログラムが仮に成功した場合、RCAPは資金援助団体や地域パートナーと共同で、全米50州全てに同プログラムを展開することを予定している。

RCAPのCEOを務めるNathan Ohle氏は、「我々の強みは、地域コミュニティと構築した既存の関係である。我々の設立趣旨は、地域とのパートナーシップを通じて、我々の取り組みが実施可能となり、農村地域に対して強いインパクトを与えることである。今回のプログラムは、我々が貢献する地域コミュニティに利益を与える革新的なパートナーシップを見出す上で、絶好の機会となる」と述べた。同氏は続いて、「RCAPのミッションは、農村地域が直面しうる様々な課題を解決することにある。我々の主な取り組みは、安全な水道水や衛生面で優れた下水道サービスを農村地域へ提供支援することである。また、処方された医薬品が水資源や上水道システムへ与える環境面での影響(有害性)について我々は認識している。そのため、今回の革新的なアプローチは、全米各地の農村地域が直面する深刻な課題を解決する上での第一歩となる。Stericyleとのパートナーシップを通じて、「Seal & Send」キットを配布することで、農村地域における一般家庭での医薬品の過剰摂取を防止すると同時に、水資源や上水道システムの保護を支援する」と述べた。

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