Veolia Water、中国の青島事業を含む水ビジネスの一部を光大水務に9200万人民元で売却 – 中国での事業を縮小する方向へ

2014年7月下旬、中国・光大国際有限公司(以下、光大国際)の完全子会社である光大水務が、Veolia Water傘下の「青島威立雅水務運営有限公司(以下、青島ヴェオリア)」の78%の株式、および、「光大威立雅水務香港ホルディングス(以下、香港光大ヴェオリア)」の40%の株式を9200万人民元(約15億1800万円)で購入した。これにより、光大水務は青島ヴェオリアの株式の99%を所有したことになり、また、香港光大ヴェオリアの株式の100%を所有することとなる。なお香港光大ヴェオリアは、青島光大ヴェオリア汚水処理有限公司の60%の株式を所有している。関係筋によると、今回の売却はVeolia Waterが中国市場での水道事業を更に縮小する方向にあることを示唆しているという。

中国におけるVeolia Waterのこれまでの歩み

Veolia Waterが1994年に初めて中国に進出してから現在に至るまで20年が経ち、水道事業における世界最大手の同社は中国市場でも大活躍してきた。1997年にVeolia Waterは中国で初の契約を勝ち取った――天津凌庄水処理場の改修・更新および20年間のコンセッション契約。このプロジェクトを皮切りとして、中国水市場はVeolia Waterの海外事業における重要な一部となってきた。その後、同社は中国での発展を加速させ、相次いで競争入札の方式で成都と上海の水市場に入り込むことができた。

「中国水市場においてVeolia Waterは大きな役割を果たしました」こう語るのは、中国水網の編集長でもある、清華大学・環境学院環境保護産業研究センターの傅濤主任である。Veolia Waterは最も早く水道事業を展開した民間業者である。

その後2002年、Veolia Waterは上海浦東のプロジェクトを獲得した。同プロジェクトにおいて、Veolia Waterは水生産、配達及び顧客サービスなどを含んだ全面的な給水サービスの提供に参加していた。このプロジェクトは、中国市場においてVeolia Waterがより高いステージに上ったことを示すものとなった。2002年以降、中国政府から一連の奨励策が打ち出され、外資企業と国内水処理企業の協力関係構築のための良好な環境が整った。Veolia Waterは海外事業戦略の中心をアジアに移転し、特に中国市場には重点を置いた。これにより同社の発展は勢いを増し、2004年には中国水分野において最も影響力のある10企業のうちのひとつに選ばれた。

しかしながら、2008年以降、金融危機の影響により「国有化」のトレンドが巻き起こった。この段階において、財政政策と金融政策の転換を要因として、中国水市場には「国進民退」という現象が現れた。一般市民および政府からの外資系企業に対する不信感が高まったために、外資系の水企業による買収が減速したものと分析されている。

これを背景にして、2008年以降にVeolia WaterはM&Aを縮小し始めた。関連報道によると、2012年のVeolia Waterの全世界における売上は120.78億ユーロ(約1兆6426億円)で、そのうちアジア市場はその16.2%だけである。またE20環境産業研究院の2013年の研究結果によると、中国・北控水務は総水処理容量が2094万m3/日に達しており、Veolia Waterを超え国内初の水処理規模が2000万m3/日以上の企業に躍進し、国内企業が水市場をリードするようになった。

このような経緯を踏まえ、今回の光大国際による青島ヴェオリア水務の買収を受けて、専門家らは中国水市場においてVeolia Waterの業務縮小の傾向を示しているのではないかと分析している。

 

(参考)
下図は、中国における水インフラ・プロジェクトのうち、民間企業が参入したプロジェクト数の推移である。1990年代から徐々に増加し2007年に最大(60件)となって以降は減少傾向にあることが分かる。

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図 中国の水インフラ・プロジェクトに対して民間企業が参加したプロジェクト数の推移
(出典:World Bank, Private Participation in Infrastructure Database)

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